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さいはて 投稿者:蛍 さん 投稿日:2005/03/22(Tue) 01:50 No.64   <HOME>
アスファルトのやわらかなくぼみに
ゆうべの雨がひっそりと溜まって
風がふくたび 波紋をひろげては
波うち

波うち  それは

どこか遠くの
ちいさな知らない港から

こんなところにも海はあるの と
青く澄んだひとみのように
あどけなくうちよせる さいはて


しろい砂浜で
サンダルをなくしてしまったから 
もう
帰れないねって
風に吹かれて笑って
汐の香に そまる

夕陽がおちるころ
なくしてきてしまったものが ひとつ ひとつ
きれいな魚になって泳ぎはじめる

ごめんなさいね
そんな言葉も
きっと とどかない



もう いいの

やさしい、と
言ってくれた あなたにゆるされたので
お家にかえろう



さいはては
アスファルトのみずたまりに
眠る

わたしは

汐の香の
髪を

洗う


Re: さいはて Aya-Maidz. - 2005/03/22(Tue) 01:53 No.65  

蛍さん、ちりつも。に作品を掲載した時もそうだったんだけど、毎度季節感のない作品の掲載の仕方でごめんなさい。

ということで、さっそく。とてもやわらかくて、しっとりとした、ホントに蛍さんらしい作品。良質の作品を投稿してくださってありがとうです。

タイトルにも使われているさいはて、そのしっとりとした雰囲気から主人公の中におけるこの意味というか場所というか、そういうところに思いふける。しろい砂浜での瞬間、とどかない、さいはて。

> 夕陽がおちるころ
> なくしてきてしまったものが ひとつ ひとつ
> きれいな魚になって泳ぎはじめる
>
> ごめんなさいね
> そんな言葉も
> きっと とどかない

作品内では描かれていませんが、なくしてきてしまったものを(しかも見える形で/泳いでいく姿を)見送る主人公の心境、という、また一つのさいはて。

展開としてすごく大雑把に

1. アスファルトの水たまりを眺める現実の光景
2. そこから重ねるように思い描かれるしろい砂浜での光景
3. あなたに声をかけられて現実に戻ってくる
4. しろい砂浜での回想を拭う

と辿っていくわけですが、現実の光景と回想シーンとのコントラストは、取り上げた部分に限らず色々な点が対になっていて趣向の凝らし方がはっきりしてますし、光景も綺麗。主人公の立ち位置の不確かさこそが作品に描かれる主人公の心情の一つの真実。

でもこの現実と回想との境の曖昧さから生まれるこの感覚、曖昧なんだけど場面が切り替わっているという認識が前提で話が進むことから、場面/状況の不明瞭さにも繋がってちょっと混乱するかな?

そして最後の

> わたしは
>
> 汐の香の
> 髪を
>
> 洗う

この部分は、ここでは便宜上“回想”としている“しろい砂浜での光景”が決して単なるまやかしではなく、ゆっくりと滲み出してくるようなとても深い感情であることを間接的に裏付けるかのよう。同時に“過去の払拭”とも受け取れて、どんよりと重いだけではない小さいながらも希望の垣間見れる括り方なのも印象的です。


Re: さいはて DARKZONE - 2006/01/12(Thu) 18:27 No.69   <HOME>

初めまして*^^*
いい詩ですね。
ちょっと ぞくっ ときました。
不思議なリズムもそうだけれども、
情景にからみつくようによせてくる「あなた」との見えない対話、最高です。

あどけなくうちよせる さいはて

なくしてきてしまったものが ひとつ ひとつ
きれいな魚になって泳ぎはじめる

美しすぎますね。
何度も読み返してしまいました。

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