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そこにあるのは、光でも闇でも・・・ 投稿者:蒼井 氷 さん 投稿日:2003/10/19(Sun) 23:44 No.42  
ぽっかり、空いた穴
それは闇の海に浮かんだ月のように
儚く、そして小さく。

風に感情を吸収されて
心の中は空虚
記憶は少しづつ消えて
言葉も枯渇していく

あの月が太陽なら
私たちは何にも怯えることなく
過ごせるというのに。

虚空を斬って
この闇を切って
貴方の歌が
人々に届けばいいのに

奏でる歌声も
囁く愛の歌も
遮断されて

闇でさえも
溶けて

無に帰す



Re: そこにあるのは、光でも闇でも・・・ Aya-Maidz. - 2003/10/19(Sun) 23:46 No.43  

作品の舞台となる夜の色調に見合った、繊細で落ち着いた文体の作品だな、というのがこの詩の第一印象。特に飾った言葉もなくて、筆者の想いは分かりやすく伝わりやすいと思います。まぁ逆を言えば言葉に綴ったことだけで全てが完結して、詩として読み返すたびに色々と世界が広がっていきそうという感覚があっても良いかなぁって思いはするけど、この作品の本質を考えるならまず誤読なく伝わることが大切だと思うし。

作品の中で描かれている想いは、きっと誰もが一度は感じるだろう空虚感って言うか、そんなところを想像したんだけど、2連目

> 風に感情を吸収されて
> 心の中は空虚
> 記憶は少しづつ消えて
> 言葉も枯渇していく

っていう部分、作品中の風の役割が視点的に面白いかなって思う。

周りに何もなくても、時間の流れを感じさせない空間の中でも風の流れがひたすらに時間の経過を感じさせる、そんな感覚……、風が流れると草木や波がざわめいて否応もなく時間が流れていることを実感させられる。いつ何時も「今」に留まっていられない焦燥感。煽られる不安、だからこそ憧れる太陽。

光は強くなればなるほど、濃い影を生む。そうだとしても。

想いが少しずつ薄れていき、そんな自分を時間の経過とともに受け入れて、それでも何かを望み続けるのなら、

> 虚空を斬って
> この闇を切って
> 貴方の歌が
> 人々に届けばいいのに

そう願い続けて歌うより仕方ないのかもしれない。輝くばかりの太陽の光は、同時に自身よりも弱い光を奪い、そして何よりも時間の流れは、それ自体が『絶対』の否定でもあるのだから。

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