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歩いた足跡が僕を押して 投稿者:eito. さん 投稿日:2004/06/28(Mon) 23:44 No.56   <HOME>
一歩一歩踏みしめて
坂を上る
うまい具合に信号が一つ二つ
ちょっとやすめよとばかりに
赤信号

踏み切りに遮られて電車が来る
一つ二つ、三つもくる
早くあの場所に行きたいのに
遮断機のとうせん棒

この坂を上りきるのは
大変
その場所に君がいるから
一歩一歩

だけどこの坂は
小鳥たちの励ましの歌声や
町並みを見ながらの
一歩一歩
ネコとも出会う
ネコとあいさつをして
また一歩一歩

くたくたに疲れたけど
また一歩一歩
もうそろそろ登りきれそうだ
と思っていたら
突然 君が見えた


Re: 歩いた足跡が僕を押して Aya-Maidz. - 2004/06/28(Mon) 23:48 No.57  

今回のトップ詩は、最近ウチに作品をよく投稿してくださるeito.さんの投稿作の中から『歩いた足跡が僕を押して』を。

私が個人的に思うところも何点かあったのですが、全体として面白かったです。特に“最後の突然 君が見えた”へ持っていく過程が。

この締めに至る道程から見て、1〜2連目、

> 一歩一歩踏みしめて
> 坂を上る
> うまい具合に信号が一つ二つ
> ちょっとやすめよとばかりに
> 赤信号
>
> 踏み切りに遮られて電車が来る
> 一つ二つ、三つもくる
> 早くあの場所に行きたいのに
> 遮断機のとうせん棒

“赤信号”や“遮断機のとうせん棒”の使い方はうまいと思う。区切り区切りで主人公に立ちはだかる障害が、進みたくても進めないもどかしさとして、分かりやすい形になっていると思うのね。この構図を2回で留めたのも、さじ加減として良い。あんまり同じことを繰り返すと今度はくどくなるし、逆に1連目(あるいは2連目)のみになると、そのもどかしさが削がれてしまうから、ね。

続く3連目なんですが、この連は必要ないと思うんです。演出として君が出てくるのが早い、と言うか。最終連の“突然 君が見えた”というインパクトとそれに伴ってくたくたに疲れても坂を上りたかった主人公の動機は伝わるので、そこを考えるとわざわざ作品の道中で前もってそれを説明する必要はないと考えるの。

ちょっと蛇足ですが逆に、坂を上り切ったところで“君”がいないというオチなら、この連は必須になります。主人公の期待を先に読者に伝えることで、期待と現実のギャップが作品の構図の中で生まれるので。

4連目は作品の起承転結で「転」に当たる箇所ですが、ここにボリュームがあるともっと最終連が映えるかな。ここで言うボリュームは(文の)量のことではなく、主人公が感じる情報量について。

情報を詰め込むともちろんそれを伝える文章量も増えるので、その度が過ぎるとやっぱりくどくなりますけれど、作品内では“町並みを見ながら”と町の光景を一言でまとめてますが、ワンカットでも主人公を仰角で映すカットが挟まれば、主人公が生きている世界がもっと広く大きく広がっていくと思うんです。

その視点には背の高いビルや木々、更には青空が映りますよね。この作品の中で想像して自然な空はとてもさわやかな真っ青の空だと思うんです。主人公に限らずさわやかな真っ青の空を眺めたら、何かしら気分が好くなったり、良い出来事を期待したくなったりしますよね。ここで“突然 君が見えた”という締めの主人公の感情に直結する。3連目の直接的な説明はこういうカットの挿入で話の骨を折らないよう、暗に語るのも一手法だと思うわけです。

あと、ちょっと坂が強調されすぎてて演出過剰な印象も受けたのですが、作品の構成として基本に忠実で安心して読めるのと、個人的には冒頭での作品の引き込み方に妙を感じた作品でした。

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