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空想現実 夢 投稿者:kaede さん 投稿日:2004/07/31(Sat) 23:20 No.58   <HOME>
そろそろ外に出ようかな
引きこもりではないけれど
柔らかな日差しに触れたいのだけれどね
ちょっと怖いのよ
ビルの上のあの秘密基地から飛びたくなってしまいそうで

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外に出たら何をしようか
まず手を繋ごう
なんていうか、ぎゅっと握ってやるよ
パン屋さんでお前の好きなパンを一緒に買おう
そしたらお前のうつろな目は少しは微笑むかな

海にも行きたいね
なぁアリス
たまにはあの田舎道を足が棒になるまで歩いてみようぜ
それで砂浜で少し休もうか
魚の死骸がこの前あったんだ
まだあるかもしれない
お前が見たらどんな顔するかな

-------------

海より近くの公園に行きたいわ
ベンチに座ってパンを分け合いましょう
貴方はいつもはいている擦り切れたジーンズにTシャツ
私はあの白いスカートをはこうかな
似合うかしら?
私、貴方のあのジーンズが好きなの
捨てちゃうなんて絶対ダメよ
貴方にしか似合わないものなのだから

---------------

お日様ってあたたかいわ
そうだな
さっきまで私は何故おびえていたのかしら
君の気持ちのせいだよ 気にすることない
私このままずっとここにいてもいいわ 貴方とずっとここにいるの
それはダメだよ それじゃあ夕飯の支度は誰がやるんだ?





私、貴方のこと好きよ
誰よりも




・・・・夕方になったらこのまま浜辺を歩きましょう
私、貝殻をひろうの
綺麗なものみつかるかしら
見つかったら貴方に一番のをあげるわ

---------------




声が届いていますか
声が届いていますか

貴方はどこにいますか

やっぱりこれは夢なのね
貴方との馴れ初めかしら
思い出?
なに なに なに なに


教えてくれる?



---------------

ねぇ

夢を見たの
こんなの久しぶり

貴方に似ている人と沢山外を歩いていたわ
貴方だと思うわ
だってすごく仲が良さそうだったもの
貴方は昼からビールなんて飲んじゃっているの
いつかの私たちみたいだった

食事たまに一緒にしない
このドア開けてくれないかしら?

-------------





ドアが開かないこと位知っている
私がそうしたの




---------------

幸せになる為に確か貴方が
何かを口走ったのよね

わかってる
でも何かは靄の中で
もう見えないわ

----------------

怖いわ
このまま私あのビルに向かっていいかしら
ドアの釘はもう抜いておいたから
貴方はそのままどこかへ消えて

ふふふ

そんなこと言われたって貴方にはきっと出来ないでしょうね
わかっているわ

-----------------

だからさようなら

-----------------

大丈夫これは夢よ
目をつぶってごらんなさい

ほら 

ひとつ ふとつ
ぽつぽつ
ぽたぽた

---------------

朝がやってきた


Re: 空想現実 夢 Aya-Maidz. - 2004/07/31(Sat) 23:24 No.59  

本当にお久しぶりになってしまいました。今月のトップ詩の更新です。時間が空いてしまったので、どうせならちょっと趣向も変えてみたいとは思ったのですが、さすがにそういう余裕もなかなか取れず。これまで月次で行なっていた更新が再開できただけで精一杯。

さて、今回取り上げるのは幾つか投稿してくださっているkaedeさんの作品の中から『空想現実 夢』を。

正直言うとkaedeさんの投稿作は全体的に難解でこの作品もその例から漏れないのですが、なんて言うんだろうなぁ……、意図的か否かはともかくどれくらいの密度で繋がり合うのかが不明瞭な複数の断片の、その狭間に含まれているだろうと感じられるイメージの一つ一つが、それらが積み重なって生まれる雰囲気が私的には好きな方。ちょっとこの作品はダークだけど。

言い回しが独特な部分もあるし、見方を変えると不親切な感じを受けるんだけど、イメージであったり空気と言うか雰囲気を鑑賞するタイプの作品と言えるかな。そういうのも、ありだと思う。

で、“そういうのも、あり”だと思うんだけど、真っ先にこの作品で思ったことで、場面/視点/舞台などの切り替えにどれも同じ区切り線が使われているんだけど、これだけ転換が発生するのならば、それぞれ間の置き方を変えても良いんじゃないか?って。前述通り理解しようとするとすごく難解に映る作品なので、どう切り替わったのかを視覚的にパターンを変えてもらえるとそれだけで読む方としては助けになるし、転換の回数も少なくはないので単調な印象をどうしても与えてしまう。

この淡々とした語りが良いと言われればそうかもしれないけれど、切換えを複数のパターンで行なってもそれだけで賑やかになって冷淡さが消えるってことはない筈。加えて、特に

> 声が届いていますか
> 声が届いていますか
>
> 貴方はどこにいますか
>
> やっぱりこれは夢なのね
> 貴方との馴れ初めかしら
> 思い出?
> なに なに なに なに
>
>
> 教えてくれる?

の連と続く、

> ねぇ
>
> 夢を見たの
> こんなの久しぶり
>
> 貴方に似ている人と沢山外を歩いていたわ
> 貴方だと思うわ
> だってすごく仲が良さそうだったもの
> 貴方は昼からビールなんて飲んじゃっているの
> いつかの私たちみたいだった
>
> 食事たまに一緒にしない
> このドア開けてくれないかしら?

という連の間は場面も“私”と“貴方”の関係もまるで変わってしまうので、少なくともここは意識的に違う方法で間を上げた方が良かったように感じるの。

と言うのも、この作品の核とも言うべきはこれ以降の連で、それまでの話との主従関係を明示する方が作品のメリハリという面においてもはっきりすると考えるわけです。そうすることで夢の中の話だった部分と、それ以後の各連がそれぞれどれくらいの密度で関連し合っているのかが容易に掴みやすくなるわけ。ということは、詩の中では詳細には触れなかった“貴方”はより明確にイメージが浮かび上がってくる。そうすることで“私”と“貴方”の関係、具体的には“私”の中の夢と空想と現実の関連性が作品を読んだ一人一人の中でもっと繊細に形づけられることができる。そういう点でまだこの作品はきっと精美できると思うの。

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