今月のトップ詩。::LOG
旧投稿詩厳選レビューと過去の『今月のトップ詩。』掲載作品の過去ログ集。飛び込みの感想・批評レス歓迎。返信ボタンから是非投稿を! |
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『叶えない祈り』 投稿者:NEO さん 投稿日:2002/04/08(Mon) 23:49 No.10 | |
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雪と一緒に溶けてください
いつか崩れていく私の幻影達 私はただ 幸せになりたかっただけ どんな嘘偽りの原点もそこにあるの
真っ白に覆い隠して 一緒に連れて行ってください
貴方の笑顔で幸せになりたくて 聖夜の枕下に大きな嘘を置いたりもした ずっとサンタクロースになりたかったの 笑顔を作り出す嘘は素敵 真実を知って泣いた日を忘れたわけではないけれど・・・ もっと早く許してあげればよかったね 綺麗な夜の優しい嘘を そうしたらきっと私達 笑顔で向かい合えた
いつか崩れていく私の幻影達 どんな嘘偽りの原点もそこにあるの だけど心がずきんってするから 誰か 早く見つけ出して
雪と一緒に消えてほしいの だけどちょっとだけ 私の嘘を怒って 仕方ないなって笑ってほしいの
それはあまりに矛盾なので 到底 叶えない祈り
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| 第2回目レビュー。 Aya-Maidz. - 2002/04/08(Mon) 23:50 No.11 | |
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このコーナー、月一の割合で投稿詩を取り上げるという企画なんだけど、一応第一月曜日の 0:00 にアップするという簡単な決まりを設けていまして、それに合わせて前日に原稿を用意しているわけですけれども。今日(2002.04.07)って『For you』の担当日じゃん。日曜ということもあって投稿作も多いようで、今日は一日詩を読みっぱなしな感じです。といってもこの原稿書いてるの昼過ぎだけど。まぁ既に4篇ほど溜めてるんだけどね。
で、今回ピックアップするのは旧返詩板よりNEOさん作『叶えない祈り』。 今回の更新までの2週間ちょいほど返詩板の投稿を停止していたせいか、最近はちょっとご無沙汰しているのですけれど、年始辺りからこまめに投稿していただいてました。
さてさて。 この作品でさっそく目を惹くのはタイトル。読み流すような感じではするっと見逃してしまいがちですけれど、“叶わない”んじゃなくて“叶えない”んです。最終連を受けてのタイトルだと思われるのですが、ここだけを捉える限りでは「到底 叶わない」んじゃないの?と突っ込みたくなるんですけれど、私はこれを両方受けていると読みました。 要は表意としての「叶わない祈り」であり、真意としての「叶えるわけにはいかない祈り」だ。と。筆者の本意は定かではありませんが、少なくともどっちかだけという簡単な想いではないなぁと。深いです。
では本編。 NEOさんの場面描写ってどの詩をとっても繊細で綺麗なんですよ。だからといって耽美に比喩で全編が彩られているというわけでもなく、端的に言い表すなら、そのまま置くところと飾る部分のバランスと織り合わせが絶妙というか。 その触媒としてこの詩では雪の描写がうまく使われています。
冬の中間点に位置するクリスマス。その主人公とも言えるサンタクロースを夢見た主人公の想い。けれど終わりを迎えて、冬の終わりに重ね合わせて主人公は表意として
> 雪と一緒に消えてほしいの
と、更に真意として
> 誰か 早く見つけ出して
と願う。冬が終わりあっけなく溶けていく雪の様子とうまく恋愛の終わる儚さ、その奥で願う想いの切なさが綺麗にリンクしている一篇です。
> それはあまりに矛盾なので > 到底 叶えない祈り
端直に飾られることなく綴られた最終連。主人公がどういう想いの最中にいるのかが窺えるようです。
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