今月のトップ詩。::LOG
旧投稿詩厳選レビューと過去の『今月のトップ詩。』掲載作品の過去ログ集。飛び込みの感想・批評レス歓迎。返信ボタンから是非投稿を! |
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初音 投稿者:はな さん 投稿日:2003/10/05(Sun) 23:54 No.38 | <HOME> |
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柘榴のように きらきらと ひかりのつぶのふり来るきせつ おにいちゃんは ふらり帰ってきて おれ マザコンだからね と言いながら ぶさほうなてで ていねいに ていねいに おせんこうをたきます
日にやかれた かたいて よこで見るのが 小さなころからすきでした
ひかりのふり来るきせつには ひかりのふりくる ひかりのふりくるこのみち 家のまえ 沈丁花 白がまばらに
泪に 似ている
ひかりのつぶの ひとつ ひとつに映る あざやかな人の世
おかえりなさい、 こぼる しろい しずく こぼる はるのはな
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この作品をライブで『今月のトップ詩』に掲載した際には、私の都合のせいでレスとか全く入れられなかったんですけど、こっちに掲載するに当たって感想の一つでも。と思いまして、久々に再読。時間が経っても良い作品は良い作品だよねぇ〜。
はなさんが作品の中で描く色調というか世界観は一つの形として既に完成していて、どの作品も通じて日常的で、淡く、やわらかく、そしてどこか温かい。
この作品の中で印象的になのはやっぱり“おにいちゃん”かな。
> おにいちゃんは > ふらり帰ってきて > おれ マザコンだからね と言いながら > ぶさほうなてで > ていねいに ていねいに > おせんこうをたきます
どんなおにいちゃんなのかよく分かるし、
> 日にやかれた かたいて > よこで見るのが > 小さなころからすきでした
そのお兄ちゃんを見つめる主人公の視線はやわらかい。 身近だからこそ見失いがちな、ちいさな幸福せの温かさがここにあるっていう感じかな。それを気づかせてくれる、その素朴さゆえに彼女のファンが多いんだろうなぁ。
欲を言うと冒頭と道中で情景の色合いが急に変わって、じっくり読み返すと「あれ?」って思ったりもする。沈丁花の色合いを強調するのなら、冒頭の柘榴の色調は思い切って削ってもよかったかな、と思うところです(季語的に作品内の季節も統一感が出てくるし)。
でも、そんな細かいところがどうだろうが、ダイレクトに温かさが伝わるのは良いなぁ。
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