Life is a Flower.

詩の話とかWebっぽい話とか、とにかく雑多に。

2006年08月29日

「熱帯アメリカ」@うおのめ文学賞

引き続きうおのめ文学賞の結果について。作品自体に関しては寸評の他、選評でも取り上げてるのでちょっと違う視点から。

まず「熱帯アメリカ」なんですが、この作品はうおのめ文学賞という舞台を考えた際に私にとってはすごい魅力的な詩でした。選評では“まず丁寧に文章を書く”という基本的なことを、うおのめ文学賞詩部門優秀賞という形で伝えると書いたんですが、この作品を優秀賞に添えることで投げかけられるメッセージ性は正にそれを代弁してくれそうな期待を抱いたんです。

詩という表現手段ってどうも筆者の感情の捌け口になる傾向があって、うおのめ文学賞においても例年一定の比率でそうした作品がエントリーされるんですよね。

で、うおのめ文学賞の理念・主旨としてはオンライン文学の活性化と育成と記されていまして、そこでできることは限られるんだけど、優秀賞として作品一つを取り上げて提示できるのは別に「この作品が一番良かったです、おめでとう!!」だけじゃなくって上述のようなメッセージにおいて何を伝えるか(伝えることができるか)っていう意味合いも大きいんです。これが前回記事のうおのめ文学賞結果発表。でいううおのめ文学賞で優秀賞に挙げるということは次回以降のベースアップのための一つの見本という意味合いも含まれてくるっていうことなんですけどね。

ま、なまじ文学賞を名乗りつつ“まず丁寧に文章を書く”ってことを伝えなきゃいけないというのも多少悲しいといえば悲しいのかもしれませんけど、現実としては妥当といえば妥当かなぁとも思うし。昔何度か投稿していた某誌の小説コンテストでも、受賞作発表号で一次選考担当された方々が6ページも取って同じこと言ってましたしね。話が脱線したけど。

そういう作品の放つ魅力とそこから受けた期待感を持ちながら優秀賞に及ばなかったのは、やっぱこの作品が持つ弱点だった。この作品の評価は詩部門の選考でメインをはった大江さんと私では高評価だったものの、他の部門の選考に関わられた方々からの評価はかなり二分してました。やっぱり「で?」と聞き返したくなる読後感が気になったんだと思う。あと、舞台となっている中米の異国情緒がある程度知識として(とまで行かずともニュアンスを)持っていないと伝わりにくいかなぁ、とも。

この作品、主観など極力フィルターを排除しようとした意図が感じられる作品なので、そういう方向への推敲はあまり好ましくなさげだけど、フィルターを意識させないフィルターのかけ方にこだわってみても面白いと思う。

こういう形ででももう少し何かしらに焦点がないと、と感じさせるのは作品舞台の閾値がそれだけ高いからかもしれないとも思うし、コンテストという形式で甲乙をつける場合、筆者が何をどういう手法で見せようとしてるのか?ってのが大きなポイントになったりもするんで。あと上手く言えないんだけど、フィルターが無いのと最低限なのとはまた違うというか。

ともあれ色々と興味も尽きない作品の形です。

投稿時刻: 11:04 | カテゴリ: /poem/events | 固定リンク

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