Life is a Flower.

詩の話とかWebっぽい話とか、とにかく雑多に。

2004年08月29日

うおのめ文学賞/雑感。

今年も詩部門の選考委員として参加することになりましたうおのめ文学賞ですが、19:30頃……、かな?結果が公開されたようです。日記で22日のうちに選考作業が終わったとおっしゃっていたはらだよしひろさんの寸評が気合い入ってて、私ももっと書くべきだったかもぉとちょっと後悔したりも。

第3回からずっと詩部門の選考委員をやっているのは何度かここでも触れていることですが、全体的なエントリー作のレベルは少しずつ上がってきているように思います。最初に選考委員の仕事を受けた頃は、正直「そんなの私(あるいは直接作者を知らない読者に)に打ち明けられても……」とか「感情を吐露するのならするでもうちょっと打ち明け方があるんじゃないのかな?」とか思う作品も結構多かったのですが、少しずつそう感じる作品の比率も下がってきたんじゃないかな、とまず感じたわけです。もちろん今回で5回目、ある程度選考の傾向もはっきりしてきたこともあり、それを理由にそうした作品でのエントリーが減っただけかもしれませんし、詩を書く人たちの中でこうしたイベントをきっかけに作品を読んでもらいたい層ととにかく感情を打ち明けたい層がはっきりしてきただけなのかもしれませんが。

で、今回の選考ですが、この日記でも前回時の第一印象として

  • 行間を読む(読ませる)といった概念がまだないからか、言葉の上での話に終わる作品が多い。
  • 「ただ……」などの一言でテーマの本質や核心を覆い隠したまま、主観的な結果・事実を言葉で後追いするだけの作品も多い。
  • テーマや題材と比べて描写や言葉の修飾の過多だったり、大げさだったりしてすごく上滑りした感じの表現が目に付く。

挙げていたこともあり、この部分を中心としたテーマを持って作業に当たってみました。

行間という点(あるいは今回の評の中では言外という言葉も用いていますが)についてはまだそこが課題となる作品は多いかな。

この部分が映えた作品は、作品そのものの練り込みがしっかりした印象を受けたものが多く、作品としての大きさも感じさせてくれたように思います。ただやっぱり全体としてはかなり難しい課題でもあるかな、とも思うところです。

その一歩手前の基準となるテーマの本質や核心を覆い隠したまま、主観的な結果・事実を言葉で後追いするだけの作品も多いというポイントについても、課題となる作品が多かったような印象。この部分は前回時とは傾向がやや変わっていて、「ただ……」とか代名詞で主題を覆う作品は前回と比べて減ったように思うのですが、唐突に現れるキーワードが何の説明もなくそのまま扱われて、結局それにどんな想いを託したかったのかイメージできないまま放られた作品は増えたように感じました。

次のポイントとなるテーマや題材と比べて描写や言葉の修飾の過多だったり、大げさだったりしてすごく上滑りした感じの表現が目に付くとダブる部分があるのですが、そうした作品はえてして綺麗な言葉/綺麗なイメージを意識しすぎた結果、作品の中でその言葉がどういう位置づけとして扱われているのかという部分が置いていかれてしまったようなバランスの悪さを露呈したように受けるんです。

あと、これは前回にも感じたことなのですが、こじんまりとまとまった作品が多かったかな、と。その中でも佳作/良作というべき素敵な作品も多かったのですが、ここぞとばかりに(?)スケールの大きな作品でエントリーする方もいるので、こういうイベントではその分与える印象が弱くなる傾向があるんですよね。こういう部分でもエントリー作の二極化を実感しました。印象ありきというわけではないですが、こうしたコンクール形式のイベントに向く作品/そうでない作品というのはあるものです。

もちろんその場に向いているか否かの問題で、それが作品の絶対的な評価を決めるものではありませんが、そういう意味ではうおのめ文学賞に限らずコンクール形式のイベントのあり方って難しいよねって感じます。でも逆に、それぞれのイベントや機会に応じて色々な価値観や基準があってもいい、とも思うし。

んー、難しい。

投稿時刻: 08:39 | カテゴリ: /poem/events | 固定リンク

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