2.
飲み屋「とんちき」
歌声がきこえる
祐輔、扉を開く
みわたす
大小のグループの客がいる
右手奥のグループに目がとまる
祐輔、そのグループに近づく
歌を唄っているのはそのグループ
祐輔の姿を目にしたグループの一人(美佳)
美佳 川中君
祐輔、グループの方に行く
智 遅いぞ、祐輔
祐輔 ごめん、今ついた
美佳 こっち座って
祐輔、美佳の隣に座す
友紀 静(せい)ちゃん、来なかったの?
祐輔 娘のことで…ちょっと忙しくて
智 いくつになったん?
祐輔 15…かな
智 もう中3か!早えな
友紀 職についてすぐだったもんな、静ちゃんと結婚
美佳、含んだように祐輔の方を見る
智 静ちゃん元気か?
祐輔 ああ…まあ
友紀 まさか太ったりしてないだろうな
智 あ、俺きこうと思っとったのに
祐輔 それより…一彦…
静まる
智 式はおわって、もう焼いた。
祐輔 火曜…だったんだっけ
友紀 家で首吊っとったのを親父さんが見付けたんだと
智 俺らも美佳から聞いて、荒てて帰ってきたんだよ
祐輔 ごめん、火曜は…出張だった
美佳 謝ることなんかないよ。私もびっくりしちゃってさ、連絡してる間なかったし
祐輔 オレ、挨拶しにいかなきや
智 今日はやめとけよ
友紀 親父さん気の毒でみてられなかったんだよな
祐輔 …そうか
美佳 明日さ、一緒に行ってあげるよ。一人じゃ行きにくいでしょ。
祐輔 あ、ああ、ありがとう
智 さあさあ、のんで語って笑って一彦おくってやろうや
友人達は酌をすすめる