会計、税務トピックスの解説
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2002年06月14日(金)
減損会計
 

減損会計

固定資産の減損会計とは、「資産または資産グループの収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価格を減額する会計処理」をいう。

即ち、減損は固定資産の「帳簿価格」と「回収可能性」(資産等を継続的に使用し、使用後に処分する事によって生み出されるキャッシュフローの現在価値と正味売却価値のいずれか高い方)を比較して、回収可能性がこれを下回っている場合にのみ計上されるものであり、損失の認識は行なっても、利益の認識はしないという点である。投資額の回収可能性に疑義が生じた時のみ認識が行なわれる。

これらの点(利益を認識しない点、決算期ごとに評価しない点)が、「時価会計」と決定的に異なる点である。

この会計の対象となる資産は、土地や建物といった「有形固定資産」、「無形固定資産」「投資その他の資産」である。これらは、販売を目的としないがために、利益の計上を認めないのである。

日本での導入は、アメリカでの導入が1995年12月からであったため、2002年4月1日開始事業年度を当初予定していたが、産業界の強い抵抗により導入は延期されていた。「企業会計審議会 固定資産部会」は、平成14年4月19日付けで、この減損会計の適用時期について、2005年(平成17年)4月1日開始事業年度(2005年度)から完全実施し、2003年度の決算についても適用する事を妨げないと公表した。

なお、税務上の処理に関しては明確になっていない。現行の減損処理はすべて「有税処理」であることから、この点は留意しておいた方がよいと思われる。


2002年06月06日(木)
国際会計基準審議会
 

国際会計基準審議会(international accounting standard board以下「IASB」)

IASBは、平成13年4月から、従来のIASCに替わって設立された団体である。
これは、職業会計士の団体であったIASCが解散し、様々な団体から構成される組織に変更されたものである。その目的は、単一のグローバルな資本市場を構築するため、経済意思決定に役立つ質の高い、透明で、比較可能な会計情報を提供する事を目的とする。

この団体は、14名の理事から構成される。その内訳は、少なくとも、うち5名は監査実務の経験者、うち3名は財務諸表作成経験者、うち3名は財務諸表利用者、そして1名は学者と決められている。任期は5年である。

初代の議長は、英国のsir david tweedie(トウイーデイー卿)であり、14人の理事のうち、
10名が英語を母国語とする「アングロサクソン系」である。残り4名の国別内訳は日本(山田辰巳氏)、ドイツ、フランス、スイスとなっている。このため、アメリカと非アングロサクソンの欧州諸国との間には多少の軋轢が生じている。2005年から欧州の上場企業については、IASの摘要が強制されるが、アメリカの企業が欧州で資金調達する場合、IASの適用はなく、SEC基準でもかまわないという規定が存在するからである。

日本は、新聞報道でもご存知かもしれないが、このIASBの理事の選任から洩れる恐れがあった。何故なら、会計基準の設定団体が、「民間」ではなく、「政府の諮問機関(企業会計審議会)」であった為である。英米等の「アングロサクソン系グローバルスタンダード」では、会計基準はお上が作成するものではなく、あくまで民間の手で作成されるのが、資本主義のルールだからである。

このため、別紙の資料(ホームページの資料)でも確認したように、平成13年7月に「(財)財務会計基準機構;FASF」を設立し、それを母体として「会計基準委員会(ASB)」が、新しい日本の会計基準設定団体となった。


なお、IASBの公表する国際財務報告基準は、「IFRS(アイファース)」と呼ばれる事になった。



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