幻のファンタアップルを追え!(後編)

9:30
最終打合  前回より7日という時間が過ぎた。 我々は残るC地区、D地区の捜索を敢行すべく会議室に早朝から集合していた。

 …だが、隊員たちの目には、何かが物足りない。いや、物足りないという言葉では、凡そなまぬるい激しい不安と焦燥に駆られる事実が、直後に発覚した。

サラセ「隊長は?」
シャカイ「まだきてねぇ!!」 (ジャーン)
出発時間まで、あとわずかしかない。隊長の身に、重大な何かが起こったのであろうか。
9:40
コンタクト敢行 シャカイ「もう待てない、連絡をとろう」

 隊員が、受話器をとる。隊長宅へ直にコンタクトを試みようというのだ。

 一体なぜ隊長はこの重要な日に、この時刻になっても現れないのか?

 次第によっては、今回の探検を断念せざるをえない事態に陥るかもしれない。

 隊員たちの不安を、よりいっそうに煽るかのようにコールは続く。

シャカイ「でんのう…」

サラセ「もうこっちにむかよんじゃねんか」

ガチャ…ついにコンタクトの達成を知らせる音色が、受話器の向こうから聞こえてきた。その瞬間、我々は一瞬安堵の心持ちに達した。だが次の瞬間、不安と困惑の奈落に叩き込まれるのであった。それはまさに「獅子がわが子を断崖にたたき落とす」という表現のためにあるような事態であった。

9:50
不吉な予感 シャカイ「もしもし」

電話「……」

シャカイ「もしもし、隊長ですか?」

電話「……」

シャカイ「もしもし、もしもし」

電話「う……(ガチャ)」

それっきりであった。一瞬うめき声のようなものが聞こえたかと思うと、受話器からはツーツーという無機質な音がながれるのみである。それはあたかも、他人の介入を拒むかのように、隊員たちに冷たく重くのしかかってくるのであった。

10:00
静かな戦い 会議室に戻った隊員たちは、激論を繰り広げていた。

隊長を待つのか否か、万一の場合は、今回の探検を続行するのか、中止するのか…無論だれも、本気で探検を打ち切ることを望むものはいない。しかし探険隊発足から2年半、隊長は常に隊の礎であり、また標であった。その隊長なくして、目標を達成できるのであろうか?

激論は、隊員たちの動揺の裏返しである。しかし、口をつぐんでいては、心に潜む動揺という敵を大きく強大にさせてしまうだけである。我々はあるひとつの決断にいたった。

正午まで待つ、隊長をしんじて。隊長はきっとくる。

正午まであと二時間足らず…隊員の一人一人は己の心に潜む敵と、いま静かな激闘を繰り広げるのであった。

11:30
希望の足音 限界が近かった。

ダメかもしれない。

全ての隊員に一瞬、いや二瞬三瞬とその言葉が誘いをかけてくる。最悪の事態を否定しつつも、内心で不安と焦燥にかられる我々の気力もまさにその限界が近かった。

その時である!会議室に近づく足音がきこえてきた。隊長だ! 隊員たちは、勢い良く扉をあけた。そこには隊長が半ば涼しげな面持ちで扉の前に立っていた。

だが、大きな安堵の分だけ、疑問や疑念も大きくなってしまう すぐさまに隊長に、事の真相を問い詰める。だが、隊長はこういい放つ

隊長「何よんなら、正午すぎゆうとったが」

シャカイ「誰が?!」

隊長「おめーらが!!」 (バーン)

11:35
意外な事実 そんな馬鹿な!

隊長の口からでたあまりに驚愕の言葉に、我々は混乱の極みにたたされる。無論、誰一人そんな覚えのあるものはいない。これは一体…?何者かによってしくまれた巧妙な罠なのだろうか…。隊の面々に戦慄がよぎる。

再び、隊長に電話の件について問うてみた。

隊長「そら、寝とらぁ!ああ、なんか電話がなっている夢みたわ。え、ホンマにかけた?嘘つけ」

隊長はどうやら夢うつつで受話器を握ったらしい。あの、うめきともつかぬ苦しげな声というのは、寝ぼけながら我々の問いかけに呼応した結果なのだろう。そのとき!

シャカイ「そうじゃ!雨降ったら正午過ぎまで様子をみよう言ぅたで」

隊長「みてみぃ、正午過ぎじゃねぇか」

だが、今日は雲ひとつない晴天、紛うことなき秋晴れである。隊長は、諸々の条件を一切無視して正午過ぎという言葉だけを認識したらしい。あまりに意外な事実が露見したことに、我々は運命の数奇さというものを感じずにはいられなかった。

12:00
英断 結局、当初の出発時間は遅れ、我々の計画は大幅な変更を余技なくさせられる事態となった。これが探索に悪い影響を及ぼさなければよいのだが…隊長始め全ての隊員は一抹の不安を隠しきれないでいる。

サラセ「じゃあ、出発!」

一通りの準備を済ませた隊員は、逸る気持ちで叫ぶ。そのとき声がした

まてぃ!!

声の主は…隊長本人であった。

隊長「今回の探索は、長期戦を覚悟しなければならない。まずは各自食糧を調達せよ!」

隊長の言葉に隊員は反応する

サラセ「しかし、遅れをとりもどさねば」

隊長「だからこそ、じっくりと腰をすえるのだ。我々は道中において思わぬ困難に遭遇したとき、体力が尽きることがあれば、それは死を意味するのだ!」

これぞ英断といわずして何といおう!隊長の心強い言葉に、隊員は感動にうちふるえた。そして同時にそれまで渦巻いていた何とも言えぬ重苦しい雰囲気を、一瞬の元にかきけすこととなっていた。

12:05
食糧調達 隊長の号令に勇気づけられた隊員は、予想だにし得ないこの旅に挑戦するため、十分な食糧を摂取することにした。 今回、食糧に選ばれたのは、「エースコックのスーパーカップである」

●スーパーカップ

「たっぷりの麺をたっぷりのお湯で」…というキャッチフレーズで、従来の一般的な製品より内容量を1.5倍近く増大させた非常用カップ麺。膨大な体力を要する探検の旅において心強いアイテムである。加えて値段をほぼ据え置いたままという点も心強い。当時、風間杜夫が熱くかつ半端にさわやかにCMに尽力していた。隊員の印象もまた、やはり半端に熱く半端に怪しかった。

12:30
出発 絶好のコンディションにかかわらず、大幅に出発が遅れてしまった。とは言え隊員たちの面持ちは希望と闘士に溢れていた。

これは…きっと…なにかおこるかもしれん!

先週と同じく、捜索における我々の移動手段は自転車である。多大な人力を要する上に、移動速度も決して速いとは言えない。だがこの一見欠点としか言いようのない特徴が、次の二つの意味で目的遂行に大きなプラスとして働くと考えていた。

●多大な人力

これは先のスーパーカップを摂取することにより問題にならないと予想される。むしろありあまりがちなパワーを適度に制御し、隊員各々に冷静な判断力を鈍らせない、言わばほどよい抑制剤にはたらくことであろう

●移動速度

速度が遅いということは、それだけ道中におけるささいな情報を見落とさないということにつながる。膨大な範囲の捜索、加えて手がかりらしき情報はいまだ皆無の中、やみくもに高速度で移動しても、徒労を重ねることは日を見るより明らかである。ならばむしろ、あえて低速度に抑え、周囲の変化をいち早くキャッチする方が効率がいいことは容易に想像がつく

12:40
進路は北へ 前回の捜索範囲(A地区、B地区)は、本部の東そして南方面であった。

のこるC地区、D地区は本部から北、そして西の地区となる。本部を中心として東南方面は、流通の要であり、原住民の数も多く文化の中心ともいえたが、今回のC,D地区は山間で、どちらかといえば文化後進のエリアと言うべき箇所である。

当然、扱われる品物の種類も数もA,B地区のそれとは比較にならぬ程少ない。このようなエリアに本当に今回の目的である「ファンタアップル」があるのであろうか?

その問に関して、さらなる勝算が隊長の頭の中にあるのであった。

13:20
遠すぎる道 C地区は遠かった。

出発して既に40分が経過しているというのに、まだ家はまばら。いかにC地区が町全体の中央から外れているかを端的に表現している。我々の目標はそんなC地区の中において、あえて中心といえるポイントであった。それはいかに現在その姿を店々から消した幻のファンタアップルとはいえ、流通商品に変わりはなく、その商品がそのあたりの道端に、おもむろに放置されているとは考えに難い。つまり店のあるエリア=部族の中心エリアにこそ、発見される可能性が高いという判断によるものである。

が、C地区は遠かった。

出発当初は揚々としていた隊員達の気力も、徐々にその衰退を隠せなくなっていった。 次の瞬間、叫び声がした!

うわ!

隊長が驚いて後ろを振り返る。なんと隊員一人の自転車が、横転している(ジャーン)!!

隊長「大丈夫か!」

残りのメンバーがかけよる。横転した隊員の安否が気遣われる。果して彼は捜索を継続できるのであろうか!

13:25
ピンチ!弱音 横転の原因は、悪路の岩石にタイヤとハンドルをとられたのがことにあった。それだけにC地区へ道のりが長く嶮しいものだということを伺わせる。幸いなことに、横転した隊員の体にもまた自転車にも大した損傷は見受けられず、捜索の続行に何ら支障はないものと思われた。だが次の瞬間、横転した隊員の口から信じられない言葉が飛び出す!

サラセ「こんなところに、本当にあるんですか!?」

弱音だ!弱音が隊員の口から出てきたのだ!(ガーン!)

このままでは探索の遂行はおろか、隊員が無事に帰途の道へたどり着けるかさえも危ぶまなければならない。隊には結束が必須条件だ。だが弱音は一瞬のうちにそれを粉砕してしまう、とても危険な、まさに精神の悪魔というべき代物なのだ。(バーン)

13:30
最悪の事態 シャカイ「馬鹿な事を言うな!きっとあるに決まっている」

サラセ「しかし、こんな山の中に!!」

まずい状況である。弱音は互いの不審をもたらし、やがては結束を引き破る。それはただお互いの信頼を失うだけでに留まらない、こういった極限状態で互いの協力を忘れ単独行動に走ることは、即座に遭難を意味し、ひいては生命の危険をもたらすのである。 なんとかこの状況を打開せねばならない。だが…弱音という悪魔に魅入られた隊員は、他の隊員の説得には耳を貸そうとしない。

サラセ「あのニチイでさえなかったのに、こんなとこにあるわけねぇ!」

ついに隊員はやり場のない怒りを爆発させた。最悪の事態だ。我々にはファンタアップルを捜し当てることなくこのまま奥深い山中で朽ち果てるしか道が残されていないというのだろうか?これが運命だというならば、万物に愛情をふりそそぐという神のその愛情とは、なんと無慈悲なのものなのであろうか? だが次の瞬間、目の醒めるような一括がとんだ!(ジャーン)

「安心せぇ!だからこそここに最大の勝算がある!」

13:35
確固たる勝機 檄を飛ばしたのは隊長本人であった。 その気迫は、つい先ほどまで焦燥と怒りに我を見失っていた隊員を一喝するのに十分なものであった。

とはいえ、いまだに半信半疑の眼差しを隊長に向けている。隊長は一言一言を噛みしめるように、確固たる勝機の根拠を明かしはじめた。

確かにC地区は最果てのエリア、行き交う部族民の姿さえ見つけるのが難しい。なぜここに勝機を感じるのか?それは綿密な計算によるものである。

現時点において、最大の流通エリアであるはずのB地区、その中でも最大の量販店ニチイでさえファンタアップルの発見には至らなかった。ということは、時間軸をいくら新しく設定し最新の情報をえたところで、ファンタアップルは発見できないということだ。そう我々の目標物は「すでに過去のもの」である可能性こそが支配的になっている。

ならばこそ、逆転の発想をする必要がある。つまり、今の時間の流れ、流通の流れの外にあるエリアの方が、ファンタアップルが残存する可能性が高いという結論に到達する。すなわち街の中央から離れ、外来の者を寄せ付けぬ程、時代の枠組から取り残されているこのC地区こそファンタアップルが存在するにふさわしいのである。

13:40
再出発 隊長の自信と希望に溢れる論拠をききながら、先まで困惑の表情に駆られていた隊員から、焦燥の色は消え、何かを悟ったようにその口が開いた。

サラセ「申し訳ありません。隊長」

隊長「よし、出発」

我々はここに強く大きな信頼という絆を取り戻すことに成功した。そして、あとわずかに迫ったC地区中心のポイントにむかい再び歩を進め始めたのである。

14:00
再会の男 C地区の中心に、まさに近づいたとき、隊員の叫び声が山道にこだました

シャカイ「隊長!きてください」

一番後塵に甘んじていた隊長が、その声につられ先頭に詰め寄る。

隊長「む!」

それは、マモルであった。(ジャーン)

先週、我々の旅の道中に、敢然と立ちはだかったかと思いきや、「本屋へいくから忙しい」の捨て台詞を吐いて、いずこともなく消えていったヤツがなぜここに?

我々の疑問を解き明かす時間もあたえぬまま、奴は我々の存在に気づき、近寄ってきた

14:10
全力の離脱 マモル「何しょんな、オメェら」

いかん、これでは先週の富士屋での一連の問答と同じである。何か違う展開を考えねば…しかし確たる打開案を打ち出せぬ間に、マモルの執拗な問詰めは続く。

マモル「わかったで、ファンタアップル探しょんじゃろ、アホばあじゃ」

完全にこちらの手を読まれている。動揺の色が隠せない。だがマモルは尚も攻撃を緩めなかった。

マモル「わし、今ひまなんじゃ。もうここしかねえジュース買いにきたんじゃ、でもなかったんじゃ。ヒマなけぇおめぇらについていくで」

これはまずい!最悪の事態だ。ファンタアップルを発見した功績を、横取りされてしまう可能性もある。隊員達はすがるような眼差しを隊長へと送った。 隊長はしばし目を瞑っていたかとおもうと、次の瞬間、脱兎のごとく全力で自転車をこぎはじめた!(ジャーン)

一心同体である隊員たちにも、隊長の考えは手に取るように伝わっていたらしく、これに即座に続いた。 やった、マモルを出し抜いた!

14:12
意外なハンデ だが、安心できる状況にはほど遠かった。 出し抜いたのも束の間、マモルは全力で追ってくる。双方とも自転車を駆使しているため、速度に大差はつかない。そのうえ、山道特有の悪路が禍し、徐々にその差は縮まっていきている。 それ以上に我々の立場は圧倒的不利な状況に追い込まれていた。

一体なぜ?

それは心情の差であった。 一刻も早くファンタアップルを見つけ出さねばならない…大きな使命を我々は背負っている。マモルから逃れるためとはいえ、余計な気力体力は使いたくはない。一方、マモルは自らも語っていたように、ヒマなのである。我々を補足することにその神経を集中することが、今のヤツにとっての快楽なのである。その心持ちの差が、物理的な距離の差を、恐ろしい勢いで狭めてきたのである

シャカイ「隊長!このままでは、おいつかれます」

サラセ「もう限界です!!」

悲壮な声を隊員が上げた!

14:15
台風の眼 隊員たちが弱音をあげているにもかかわらず、隊長は何ひとつ言わず、黙々と自転車をこぎ、何とかマモルの追撃を振り切ろうとしている。

だが、残酷なことに、いまだその差はジリジリと詰め寄られている 隊長は、苦し紛れにかまっすぐとは逃げず、狭い角を曲がった、当然隊員たちもそれに続く。だが、それでマモルを振り切ることはできなかった。やつもまた、角を難なく曲がってきたのである。

次の瞬間、隊長は角を左へ曲がり、また次の角を左へ曲がり、さらに次の角も左へ曲がって行った。いうまでもなく隊員たちも必死に追従する。…が、それでもなおマモルはおってくる。 隊員たちの息もさすがにあがってきた。

これ以上の全速走行は危険である。さらに残酷な光景が隊員たちの目の前に広がった!

シャカイ「ここは元の場所じゃ…」

サラセ「ワエら、同じところをグルグルまようるんじゃ」

もうあきらめてマモルの手に落ちるしかないのか?もしや隊長は自分が今どこを逃げているか把握できず、同じ箇所でまるで台風の眼のように全速旋回しているだけなのだろうか?仮りにそうだとするならば、隊長は極めて危険な状態であることが推察される。もはや冷静な判断ができず本能だけで逃げている…捜索の鉄則を完全に忘れており、このことは単にマモルの魔手から逃れられないばかりではなく、ひいては隊全体の生命の危険をも意味することなのである。

とめなければ…

隊員の一人が、心を鬼にして隊長に声をかけようとした瞬間

次の角は右じゃぁ!

14:20
恐るべき判断 その一喝に、隊員達は反射的に右にハンドルをきった。それから猛烈な勢いで走る隊長に、何とか付いていこうと、ペダルをあらんかぎり踏みつづけた。

どのくらいの時間、心臓もはりさけんばかりの限界を超えた走行をしたであろうか。突如。隊長は停車させ、おもむろに振り返る。隊員たちは、すでに体力を限界近くまでふりしぼっており、呼吸を整えることに精一杯であった。

隊長「うむ、マモルを振り切った!」(バーン!)

隊長のその言葉に、隊員たちは思わず呼吸も忘れ、後ろを振り向く。先ほどまでヒマというパワーに身を任せ恐ろしい勢いで我々を猛追していたマモルの姿が確かに見当たらなかった。 それはにわかには信じられない光景であった。 あれだけの悪路が続き、圧倒的不利なハンデを背負いつつ、隊長は勝利への一手を決して見失っていなかった。やけくそ気味に同じところをぐるぐると旋回走行していたのも、足場の悪さと追手の不安さを利用した作戦だったというのか!

その隊長の目論見通り、マモルは我々を補足することにのみ気をとられ、追い付けると慢心し、足場の悪さをすっかり見落として、ハンドルさばきを誤り転倒したに違いない。 あの事態においても、そこまで見抜いて行動するとは。

だが、我々の弱音に一々返答すれば、マモルに作戦を見通されるかもしれない、だからこそ隊長はただ黙々と走行に勤しんでいた。 我々は隊長の偉大な判断力に、一種の戦慄・恐怖さえ覚える気がした。だがそれはこの上ない心強さに変わっていき、ひいては隊の信頼と結束をますます高めていくのである!

14:35
開かれた地 未だ整わない呼吸を整理しつつ、我々はあたりを見回した。

今までの悪路はなくなり、幾分か道の状態が良くなっている。

シャカイ「隊長、あれをみてください」

隊員の一人が指さす。みれば、白く小さな建物が、いくつかまばらに見えている。 集落である。

このC地区はは山間の地区、住存する部族も少ないがらも報告されていないことはない。しかしその規模や風習などは一切が未知数のままで、中心であるA,B地区との交通手段は、先の岩場を切り裂いたような悪路のみである。つまり、物品または情報の流通はそれだけ少なく、出発前に予想された、「時間に取り残されたエリア」という仮説をこれから我々は身を持って体験しようというのである。

隊長「よし、いってみよう」

隊長は静かに断をくだした。

遠くに見えた白い建造物に近づくにつれ、我々は意外な風景を目の当たりにした。

あれだけ、山間路にはばまれ、到着することさえ困難だったC地区、当然エリアの中心も山や岩場に囲まれた環境かと思っていたが、実際は広く高野が広がり、意外にも路は硬く踏み固められ思いのほか移動はスムーズであった。そして、道々も等間隔で縦横に走っており、まさに「碁盤の眼のように区劃されている」といった表現がふさわしい 山奥の集落…という表現からは幾分が逸脱している印象をもつ

ただ、その区画されている内部の土地に、本来なら部族民の家々が建設されてしかるべきなのであろうが…それがほとんど見受けられない。野辺の空間に、路をしいているだけという感じである。畑や田園がさして広がっているわけでもなく、C地区が農耕部族ではないことを物語っている。

14:45
山間の部族たち 隊長「思った通りだ」

隊長は淡々と語り始めた。

かつてここは、自治体より開拓の地として提供されたエリアであった。いわば外部から遊牧してきた民にとって新天地となるべきエリアだったのである。先人の遊牧民達は山を開き、路を整備して、ニュータウンとして後続の民たちの受け入れ体制を整えた。

既存の中心地たるA,B地区は既にあらゆる土地を開墾しつくし、部族民の人口も飽和を迎え、これ以上飛躍的な発展のしようがないことは明らかである。C地区は頭打ちのA,B地区にかわりそのまま一大文化中心地となる予定だった。

…が、ここに誤算があった。このエリアにアクセスする幹線を整備する余裕が彼らにはなかったのである。自治体に委ねる他はなく、また自治体もそれを宣言していた。しかし彼らは当初の約束を反故にし、まったく別エリアの開墾にその資金を充当した。

いくら局部的にすみよい環境が整備されても、他エリアへの移動に熾烈な困難が伴う場合、その地区にあえて住みたいと思う殊勝な部族の数は少ない。

勇気ある遊牧民は閉じ込められた。当初期待され。一時的に盛んであった流通もぱったりとその足をとだえた。

シャカイ「苛酷な運命だ」

隊長はそこにこそ勝機ありとふんでいる。ファンタアップルはこの取り残された、非運のエリアにやはり悲しく取り残されている…我らの手によって白日の元に解き放つ瞬間を、今や遅しと待っているのにちがいないのだ!

14:50
八百屋の八百松 まばらに見えた白い建物郡は、紛うことなきC地区の中心地であった。だがその数は数えるに片手で事足り、人影はない。

そういえば到着してこっち、一人の原住民とも遭遇していない。誰もいないのであろうか?将来、新たに入ってくるであろう仲間たちの到着をまちきれず、彼らは第2の新天地を目指して旅立っていったのであろうか?それとも最悪の事態が、この地区を襲った跡なのであろうか…

しかし、それはとりあえず杞憂であることが判明した。おそらくこの地区唯一と思われる店が発見されたのである(ジャーン!)

八百屋の八百松

店の名前である。

あまりにも平凡である。

A地区の駄菓子店のような朽ち果てた荒屋を想像していたが、意外に建物の歴史は新しそうである。店の名前の平凡さと意外な小綺麗さが我々に一抹の不安をよぎらせる

こんなとこにあるんか?

だが隊員の脳裏に、道中駆逐したマモルの言葉が思い出された。

「ここにしかねぇジュースを買いにきた」

これはどういう意味があるのだろう。これこそ我々の推察が正しいことを裏付ける証拠ではないだろうか…奴はほぼ確実にこの店に立ち寄った…ということはこの店にこそ他では手に入らない貴重な何かを我々に提供してくれる、あるいはそれは我々の求める物である可能性が、限りなく高まっていく。

不安を感じつつも、我々は得体の知れない何かによって、胸の高まりを隠さずにはいられなかった。

隊長「入ってみよう」

我々はついに潜入を決意した!

14:55
店内 店内に潜入した我々をまず向かえたのは「生鮮野菜コーナー」と銘打たれた一角である。

そこは概観に違わず小綺麗にまとまっていた…が、その品数は異様に少ない。 陳列棚に所狭しと並んでいる品物…我々の日常生活から想像できる光景はそこにはなかった。すき間の見える陳列棚、白菜もキャベツも、いいとこ三つほどしかおいていない…

八百屋というより露天商のあまり物を店内に並べているだけという表現が妥当であった。

だが、それはこの地区の非運を裏うちすることでもあった。本来ならばなんとなく湿った心持ちになるべきであろうが、逆に我々に期待を抱かせる。

シャカイ「隊長!」

隊員の一人が呼とめる。

シャカイ「賞味期限が切れています」(バーン)

生鮮野菜コーナーの名前が、どこかうすら寒く響くような哀愁を禁じ得ない。

14:57
ママイ出現 次に眼に付いたのが飲料水コーナーである。

冷蔵庫の中に、無造作に横たわっているビンとカン…これも品数はまばらで、商品同士の距離がしっかりと保たれていた。さぞ冷房効率はいいにちがいない。

サラセ「あ!」

隊員の一人が声を上げた。

サラセ「ママイがあります!」

何とママイ!

意外な所で意外な物が発見された!

●ママイ…かつてはヤクルトとならんで、小容量の飲物の代名詞だった。ヤクルトほどビフィズス色は出して折らず、すこしヨーグルトとジュースっぽい感触が特徴的。ヤクルトとジョアの中間に位置するコンセプトかもしれない。だが、いつのまにか目に付く店舗からは姿を消して、さびれた街の銭湯の冷蔵販売器に少量その姿を眼にするのみにとどまっていた。

だが、これで動揺しては行けない。ファンタアップルは…幻のファンタアップルはどこにあるというのだ!みれば冷蔵庫の中には、かろうじてファンタオレンジが発見されたが、アップルの姿が見えない、ここまできてアップルはないというのか!!

15:05
尋問 落胆の色をかくせないまま隊員の一人が時計を確認する。もう15時をまわっていた。空が赤く色づき始める頃合いだ。ここは山間のエリア、日没も早いに違いない。行きにあれだけの困難を伴った、下手をすれば帰還させ難しい事態に追い込まれるかもしれない。

隊員たちは、心細げに隊長の方へと視線をやる。隊長もそれを察知したのか、おもむろに大胆な行動にうってでた!

隊長「すいません!」

なんと隊長は、原住民にコンタクトをとりはじめた。それが如何に危険なものなのかは、前回の駄菓子店や富士屋での一件で思い知らされている。あえて危険を顧みず行動にうってでたのは、いち早くこのエリアから脱出しなければ身に危険が及ぶという懸念からであろうか!

なんでぇ 声がしたかとおもうと、店員らしき初老の男がでてきた。

店員「なにがほしいんな」

無愛想に尋ねる。

この地に踏み込む人間など珍しいはず、もっと愛想よくせよ、我らは客である。隊員達の胸の内に不満がひたはしる。

だが、長く閉ざされた部族だからこそ、我らのような部外者に対し異常なまでの警戒心を抱くのかもしれない。交渉には慎重さが要される。

隊長「ファンタアップルありますか?」

店員「ねぇ」(ジャーン)

一瞬であった。あれだけの苦難を伴いながら、マモルという外敵を振り切りながら、それこそ生命の危険を担保にしながら…結果は一瞬で出てしまった。これが現実の厳しさなのである。

15:06
菓子コーナー 隊長は覚悟を決めていたのか表情ひとつ変えず踵を返して出口にむかった。ふと何かが眼にとまる。

駄菓子コーナーであった。

目的がファンタアップルである以上、駄菓子も用はないのだが、我々の視界にあるものがとびこんできた。

ウルトラマンキャンディーである

だが、歴戦の駄菓子通である隊の面々でさえ、これなるウルトラマンキャンディーは眼にしたことがない。みれば袋には、おもむろに手で書きなぐったようなウルトラマンが印刷されている。これが、微妙に似ていない。

シャカイ「隊長、これは変です!」

我々は恐ろしいことを目の当たりにした。

スペシウム光線のポーズが、腕を十字形にクロスさせる所を、X字形に交差させている。クロスチョップの体型からビームを発しているのだ。(バーン)

こんなスペシウム光線はない!あきらかにおかしい!

我々の興味は一気に高まっていく。 裏には商品の説明が記されていた。

本キャンディーは、なめているとカラータイマーのように色が変化します。

3分以内に食べ尽くせ!

どういう原理なのか!3分いないに食べないと何が起こるのか!

我々の疑問はつきない!隊長は即座に意を決した。

隊長「これください」

店員「180円」

我々はウルトラマンキャンディーを、研究材料として押収した。

15:10
アドバイス まさに我々が店を跡にしようとしたその時、原住民の店員から声をかけられた。

店員「ファンタアップルさがしよんか?二年位前は、たしかに入っとったけどのぉ。」

隊長「そうですか。」

店員「もう、みんな飲んでしもうたろうなぁ」

我々はとりあえず店を出た。 少なくとも二年前まではこの店にあった…流通から取り残されたこの地区の事だ。あったとしても、とっくに賞味期限は切れ気泡も抜けきっていたことにちがいない。

これで一般の地区への供給はそれ以前に既にストップしていることがほぼ証明された…。だからこそこの地区に一縷の望みを托したのだが、その線も潰えたということが明らかになってしまった。

だが、この言葉が我々の次の方向性を示すとは、この時点では思いもよらなかったのである。

15:15
議論をつくせ ファンタアップルは見付からなかった。我々の落胆ブリは大きかった。

サラセ「まだD地区が残っている」

シャカイ「でもここまでやってもなかったから、多分行っても同じじゃあ」

サラセ「行ってみんとわかるか」

シャカイ「ここのおっつぁんがようたが、二年前まではあったゆうて。二年前からはもう製造してないんじゃ」

サラセ「んなんここだけかもしれまぁが」

シャカイ「ニチイでさえなかったもんが、D地区に行ったってあるもんか。あっこは大きな店はねぇんで…大きいごみ捨て場くれぇしかねぇ」

その時である!

隊長「まて、貴様なんといった?」

シャカイ「ごみ捨て場しかねぇといいました」

隊長「それだ!」

隊長は何かをひらめいたようである。

隊長「いいか、これだけの大捜索でも見付からなかったアップルだ。残念ながらもう新規に製造はしていまい。だが、さっきのおっつぁんの言葉を思い出せ」

サラセ「なんでしょう?」

隊長「もう、みんな飲んでしもうたろう…これだ。」

シャカイ「それがいったい」

隊長「もはや未開封のアップルは手に入らない、だがアップルの存在を示す物はどこかに存在しているに違いない…それはアップルの容器じゃ。せめてこれだけは発見する」

サラセ「しかし隊長!店にはそんな何年も前の容器などをおいているとは…」

シャカイ「まて、店にはないかもしれんが家庭にはどうだ」

サラセ「家にだってねぇわ、とっくにゴミ…あ!」

15:17
最後の出発 意外であった。

本当に意外な言葉が我々に新たな方向性をつけてくれた。

D地区はこの街の西のエリアで一番の産廃処分場がある箇所である。といっても大量の家庭不燃ごみが放置されているだけというのが現実である。

不燃ごみ…ほとんどはビン類やカン類だが、子供の不要になった玩具なども放置される事も多く、その光景はなんとも「虚しくすさんだ」心持ちにさせてくれる。

そういった場所であるがゆえ、C地区ほど隔離されたとはいえないにしても、文化文明とはおおよそ縁遠く、民家も店もほとんどない荒野で、今回の捜索からはもっとも優先順位を下に設定されていた。

だが、あらゆる可能性が否定的結末に終わった今、せめて幻のファンタアップルが確かに我々とともに息づいていたことを証明するため、その容器の発見という方法しか残されていなかった。そしてかの条件の下では、もっとも可能性の高いエリアが、これから訪れるD地区というのは、あまりに皮肉な結果と言わざるを得まい。

我々は傾きかけた夕陽にむかい、苦労と痛手を被った今となっては懐かしい気もする山道をおりていった。

これが、今回の捜索の最後の出発になるであることを確信しながら…

16:00
D地区到着 我々がD地区に到着したのは、もうすっかり夕空に赤く染まっているような時刻であった。

しかし北の荒地からあの悪路を降りて来て、西の果てのこの場所まで移動したことを考えに入れれば、これは驚異的な速度である。それだけ旅の最後の地にかける、我々の祈るような魂の叫びの現れといえよう。

16:05 処理場散策
ゴミ処理場にやってきた我々は早速ファンアップルの容器を探すべく、三手に別れることにした。この処分場はかなり広大で、とても一人で散策しきれるものではなく、また日曜日は稼動していない。各々うけもちを決めて、発見と同時に大きな声で知らせることに決めた。

だがこの広い処分場にてたったひとつのファンタアップルの容器を捜し求めることが出来るのであろうか?一見それはおもむろにサハラ砂漠からたった一粒の米粒を探し当てるごとく、無謀極まりない計画に見えた。

だが、それについては或る程度の見通しがあった。それはこの地において、ゴミというのは分別して処理されるというのが鉄則であるという習性を利用することによる。つまり、ファンタに限らず飲料系の容器というものはビン、カン、ペットボトルときまっており、それらはその組成の性質上、やたらと焼却処分はできず、また再処理も困難なため一箇所にまとめ積み上げられている可能性が高いということである。

まずは三手に別れ、ビン、カン、ペットの集積地区を探し当てることから始めるべきだと判断した。

とはいえ急がねばならない。もう太陽も傾きかけている。「つるべおとし」の例えのごとく、この時期周囲の明るさはあっというまにおちてしまう。集積エリアを探し当てたとしても、恐らく大量のビンカンであふれており、その中からたった一銘柄を掘り起こさねばならない。もし日没を迎えれば、小さな懐中電灯ごときでは到底探索は不可能である。

我々は急がなければならなかった。

16:20
そびえたつ砦 広大さも災いしてか、ビン・カン・ペットいずれの集積場もなかなか発見できなかった。

空の色はすでに真っ赤な状態から、夜の訪れを告げる深い紺色の様相を呈し始めていた。

隊長!

どこからか大きな声がする。我々は声のほうに走ってみた。

そこにはなんと幸運なことにビン・カン・ペットが同じ個所に積み重ねられていた。(バーン)

隊長「チャンス到来!」

まさにチャンスであった。三人がかりで一箇所を捜索できる。これほど効率のいい話はない。

しかし喜んでばかりもいられなかった。その量は予想を越えて高く大きく積み上げられている。我々の身長よりもその頂点ははるかに高い。そう見下ろされているのだ。果たして日没までにこの巨大な山の中からファンタアップルの容器を探し当てることが出来るのか…。ゴミの山々はまるで我々人間の侵入を拒むかのように聳え立っている。あるいは、我々による懸命な捜索に対して少しずつ包囲網を狭められ、ファンタアップルが逃げ込んだ最後の砦とも思えた。

考えている余地はない。我々に残された唯一の手段は、すでにこのベールを完膚なきまでにはがしさることのみである。

隊長「突撃!」

隊長の号令とともに、隊員達は果敢に山に駆け上っていった!(ジャーン、ジャーン!!)

16:25
予期せぬ窮地 思えば、つい数年前まで当然のように飲んでいた平凡な銘柄を探すというだけで、どのくらいの苦労と犠牲をはらってきたことか。あたりまえのことが実はあたりまえではない事実の上に成り立っている。これこそが運命のいたずらというものであろうか。

人間は得てして大自然にその神秘さと崇敬の念を抱こうとする。それは紛れもない真実であり、その奥深さをしることは地球上に生けるものとして何らおかしいことではない…が翻って我々人間社会にはどうか?それは大自然の神秘と比べるべくもない底の浅いものだと揶揄される場面がたびたび或る。それはたしかに当たっている、が、たった一人の個人は陳腐なその人間社会さえにも翻弄されている…ファンタアップルを探し当てる、こんなに簡単なことさえもかようなまでに多大なパワーを必要とするとは…人間一人の力の無さを痛感せざるをえない。

が、いままさにその小さな一つの課題を克服しようとしている。我々は小さな成長を成し遂げんとしているのだ。

その時!

うわ!!

叫び声がした。なんと隊員達の足が、山の斜面にめり込み徐々に沈みかけているのだ(バーン)

無理も無いことである。この山は自然が水と土ではぐくんだ丈夫な山ではない。ただゴミを積み重ねただけのものである。アンバランスな体制で辛うじて形を保っているに過ぎず、もし外部から何らかの力を加えればバランスを失い、崩壊してもおかしくは無いほどもろいものである。ましてや下には土やコンクリートなど人間の体重を支えられる素材は存在しない。このまま斜面に体重をかけつづければ際限なく山の中心に引きずり込まれていくだろう。これは下手をすれば命すらおとしかねない危険な状況なのだ!(バーンバーン!!)

まさかもう一歩というところまできて、このような予想外のピンチに陥るとは!!(ジャーン、ジャーン、最大音量)

16:35
勇気ある決断 寸手のところで、ゴミの山に吸い込まれるところを隊員達はなんとか避難することができた。だが、隊員達の眼には闘志の色が鈍るどころか、ますます燃え上がり染まっているように思えた。

シャカイ「よっしゃ、もう一回じゃ!」

サラセ「いくで!」

隊員達が果敢に挑もうとするその時!

まてい!

一際大きな声がゴミ捨て場に響き渡る。

隊長「これ以上は無理だ、帰ろう」(ジャーン!)

隊員達は帰り支度をはじめた。

16:40
夕陽を背にして 我々はついにファンタアップルを捕獲することはできなかった。幻は最後まで幻で終わってしまった。隊員達の帰路を夕陽が照らす。

だが我々は敗北以上に大きな何かを勝ち取っていた。

人間は自然の前にだけでなく、人間そのものが創り出した社会や製品に対しても、時としてあまりに無力で時としてあまりに大きな影響を及ぼす…なんと皮肉な生き物なのであろうか…我々の流した血と汗と涙は、いつかきっと更なる神秘を白日の下に晒しだすことの助けとなろう、その時、人間は大きな進化を遂げることになるのだ!

エンディングテーマ

ナレーター:田中信夫

      
  今回の戦利品 ●クッピーラムネ : 内訳 =  白13、ピンク4、紫2、緑5、黄6

●フィリックスガム :  くじ=はずれ

●ウルトラマンキャンディー : 色の変化 黄色⇒緑色

後日
恐るべき結末 探険を終えて3ヵ月後、隊員達の疲れも癒えてきた頃、なんと店頭にファンタアップルが並ぶという恐るべき結末がまっていた!(ジャーン!)

ただしその名前は「ファンタアップルミックス」と変更され、従来のビン売りではなくペットボトル1.5リットルのみに変更されてていた。

一体何がアップルの身におこったというのであろうか。

早速購入し、飲んでみる。当初のまるで「梅」味という記憶は本当なのだろうか…

シャカイ「こんな味じゃったかのう?」

隊長「違うような、これのような…なんかがしっくりこんのう」

飲めば確かに梅酒をジュースっぽくしたような気がしないでもない。とはいえ、梅独特のクエン酸っぽい刺激はなく、やはりリンゴ味を大胆に加工したものである。

ただ、これは「ミックス」と名のつく通り、当時の純粋なアップルではない可能性が大きい。今回追い求めていたファンタアップルの真の味は、やはり闇の中に眠ったままなのである。いつの日にか真実を解明する日がくるのであろうか…