謎の館に潜入せよ!

9:00 最終打合

実に久しぶりの再会を果たした我々隊員。復活に我々の胸うつ鼓動も早くなる。

今回の参加者は、三名。ヒデ口隊長、シャカイ、サラセの両隊員である。前回と比べて、随分と少数になってしまったが、それぞれに背負うモノがあるのでやむをえまい。

綿密な打ち合わせをすませた我々。復活第一回目の目標は、町内に散在する無人の館の謎を解明することである。

9:30 隊員出発 最初の目標は、サラセ隊員の発案で、「朝間」部落に存在する「ヨイドレ爺い」の館に決定した。
ヨイドレ爺いとは…町内でも有名なのんだくれの爺いで、本名は不明。頭は横髪だけが白く染まり頭頂部は見事になくなっており、近所からは「カッパ」呼ばわりされていた。
その名前の通り酒をあおっては天下の往来で大の字に寝てみたり女子供にからんでみたりして、すっかり町内の名物になってしまっていた。サラセ隊員も学校からの帰りに、自宅への細道にて、高いびきのヨイドレに帰途をジャマされ、そのせいかよく覚えているのであった。
近年、深酒がたたり真冬にドブガワにて酔ったまま泥酔、そのまま凍死するという壮絶な最期がうわさされ、ヨイドレの家が空家になっていたのが、その噂を一層助長させているのであった。
そんなイワク深き謎の館に果敢に挑むべく隊員達は出発した!(ジャーン)
9:45 マモル襲来! ヨイドレ館に行く途中、我々の眼前に驚くべき人物が立ちはだかった。
マモルで(注)ある(ジャーン)
マモルは我々を見るなり口をひらく
マモル「どこいきょんな」
隊長「空き家」
マモル「オメーラ、アホちゃうんか、高校にもなって…」
隊長「ああ(嘆き)」

我々はマモルの嘆き攻撃を後目にその場を去った。

マモル…

 隊員と同い年、家出が趣味。行方不明中一時期、死亡説まで囁かれたことがある。

10:00 ヨイドレ館到着 サラセ隊員の案内で、ヨイドレ館に到着した我々。眼前には築後20年くらいの和風建築の館が我々を見下ろしていた。
シャカイ「隊長、つきました」
隊長「うむ、みんな行こう!」
隊長は果敢にも正面攻撃に打ってでた。玄関は格子状のスベリ戸である。そこに手をかける、緊張の一瞬である!隊員全員息をのんだ
隊長「ふん!」
渾身の力を込めて、隊長はとってを横にひく。辺りは異常な静けさに包まれた。いや、どこからともなくきこえる軽四トラックのエンジン音が静けさに拍車をかける。
隊長「カギがかかっとる」(ジャーン!)
10:05 別なルートを探索せよ 正面攻撃を見事に粉砕された我々は、変わる別なルートの探索を始めた。
裏口、居間の窓、廊下の窓、納屋からの進入路、ありとあらゆる可能性を模索した。
しかし、どこも厳重に施錠が施されている。
シャカイ「二階はどうなら」
シャカイ隊員の発案で、二階にチャレンジする。しかし手が届かない。我々は頭を抱えてしまった。
シャカイ「おい、あれをみい」
シャカイ隊員は裏庭を指さす。そこには古ぼけた物干し台に、赤さびて今にも朽ちそうな物干し竿が置かれていた。これを駆使すれば二階の窓に挑むのは赤子の手をひねるも同然だ。一筋の光明が我々の前にふりかかる、そんな確信が胸を突いた。
物干し竿を手にして、我々は早速窓に挑む。声を立てるな、ガラスを割るな、音を立てれば近所に聞こえる。近所は当然、空き家ではない。原住民がいる、見つかれば面倒だ。コトは密かに迅速に行わなければならなかった。隊員達の額に汗がにじむ。
だが、なんど窓をつついても窓は動こうとしない。これ以上に力を込めれば、窓は轟音とともに崩れ落ち、原住民が飛び出してくるのは火を見るよりも明らかである。やがて我々は一つの結論に達しつつあった。
「二階もカギがかかっとる」(ジャーン!)
10:30 突破口発見 ヒデ口隊長とサラセ隊員が激闘を繰り広げている間、シャカイ隊員はどこからともなく戻ってきた。
シャカイ「おい、こっちの窓があいとるで」
残り二人は思わず口を揃える
二人「はよいえー」
館の側面に回った我々は、大の男一人がやっと入れるかどうかという小さな窓が半開きになっているのを確認した。しかし、高さが隊員の頭部よりも尚も高い。その上、窓のついている同じ壁面からは青色のプラスティック製の傘をかぶった妙なパイプが生えている。
隊長「このパイプって、もしかしたら」
シャカイ「そうです隊長、これは換気口のパイプです」
隊長「と、いうことはこの窓は」
シャカイ「そうです隊長、これは便所の天窓です(ジャーン)
隊長「それも水洗じゃねえ」
シャカイ「そうです隊長、紛う事なきこれはポットン便所です!(ジャーンジャーン)

隊長は息をのんだ。
10:35 任務決定 ポットン便所の天窓が開いてはいるが、潜入するには高すぎる。我々はこの難関を解決するべく次の作戦を敢行することにした
隊員一人が、別な一人を肩車し天窓より潜入。潜入した隊員は中より玄関あるいは別な窓のカギを開け、他の隊員を招き入れる。
完璧な作戦であった。任務の役割をやるかという論議が行われた。まず肩車する隊員だが高さが要求される。身長の一番高い隊員が選出されることであろう。各人身長を述べると、
隊長169cm、シャカイ172cm、サラセ170cm
である。ダントツの高さを誇るシャカイ隊員が肩車員に決定した。次に潜入する者だが人の上に乗る以上は重量の少ない者が望ましい。
隊長58キロ、サラセ57.5キロ
僅差でサラセ隊員に決定した。だがこれは非常に危険な任務である。天窓から潜入したはいいが、着地に失敗すれば、奈落の底に真っ逆さまになるのだ。そう、ポットン便所なのである。
各隊員は自分の役割の重要性を再認識しつつ、ついに潜入体制をととのえるのであった!(ジャーン)
10:40 隊長の一言 全ての準備が整い、今まさに潜入作戦が開始されようとしていた。サラセ隊員は注意深く天窓から中の様子をうかがう。
サラセ「暗くて何もみえません」
辺りは昼間だというのに、中は信じられないほど暗いのだという。、狭い便所にこんなに小さな天窓一つでは無理もない。
サラセ「ではいきます!」
その時である
隊長「まてい!」
隊長の急の発言に隊員の動きはとまる。
隊長「ここはやめにしよう」
あまりに意表をついた発言に隊員達は動揺の色をを隠せない。ヒデ口隊長は淡々と考えを述べた。
隊長「仮にじゃ…天窓から入って、中を散策したとしよう。もし、家の者がいた時にどうやってその場をきりぬけるのだ?『探険中です』ではすまされまい」
もっともなはなしだが…
シャカイ「しかしここは完全な空き家では」
隊長「それは噂の域を脱していない。ヨイドレ爺いが死んだとて、家族がいるかもしれん」
サラセ「我々があれだけ窓をつついたというのに誰もでてこなかったでは」
隊長「今日は日曜だ、昼まで寝ていても不思議ではない、それに私はみたのだ、庭石にツッカケが転がっていたのを」
慎重なヒデ口隊長は、万一のことを考えているらしい。みればこの館は、多少古くなってはいるものの完全に原型のままである。最近まで(少なくとも)ヨイドレ爺いが住んでいたせいか、空き家独特の無人の気配はさほどに感じられなかった。ヒデ口隊長の言うことにも一理はあった。
10:45 移動開始 隊長がいうにはこうである
「もっと誰が見ても空き家らしい空き家でないと、同様の危険がつきまとう」
それも一理ある。だが、そう都合のいい空き家が存在するものだろうか?その時、
サラセ「ある」
サラセ隊員は言い放った。それも勝ち誇ったような声と表情で…
サラセ「あるで、いかにもという空き家。ワシが小学校の時からの空き家じゃ、帰り道いっつも思ようたんじゃ、夜も電灯なんかついてるのみたことねえし、玄関の窓ガラスも割れっぱなしじゃ」
今回もサラセ隊員が空き家情報の提供主となった。空き家ばかりチェックしてるのであろうか?高校生というのに。
隊長「よし出発じゃ!」
案内人のサラセを筆頭に第二の地点に我々は颯爽と移動した。
11:00 激しい昼食 移動中にサラセ隊員が叫んだ
サラセ「隊長!おなかが減りました」
自分で目的地を案内するといっておきながら、勝手に腹が減るとはけしからんことであるが、日曜日のこんな時間にどの隊員もおきているような習慣はないため、空腹を感じているのは彼だけではなかった。
隊長「よし、このあたりで昼食をとろう」
ヒデ口隊長の英断が下る。皆の持参している昼食はカップ麺であった。
シャカイ「お湯はどうするんな?」
絶品のうまさをほこるカップ麺であるがここは野外、必要にして不可欠であるお湯がない。それというのも隊長がお湯に対して楽観的な姿勢を崩さなかったからである。我々は隊長に白い目を送らずにはいられなかった。しかし隊長は意外にも強気な発言を行った。
隊長「大丈夫じゃ!」
これは何を意味するのであろうか?その時ある衝撃的な考えが我々の脳裏をかすめた。つまりお湯無しで…これ以上はあまりに恐ろしすぎてとても記述できなかった。
バリバリという音をたてながらも我々の昼食は終焉をむかえた。
12:05 潜入開始!

激しすぎるとも言える昼食の後で、我々はついに第二の目的地に到着した。先ほどのヨイドレとは比べ物にならないほど痛みが進んでいる。壁土は剥離し、玄関にはめられたガラスはほとんど砕け割れていた。
シャカイ「完全な空き家です。」
周囲を一通り見回したシャカイ隊員はこう呟く。

隊長「そうか」
隊長は一つ深く呼吸をする。緊張感がはしる
隊長「潜入せよ!」

12:10 最初の部屋 我々は側面の勝手口から潜入した
荒れ果てた扉をひらく、どうやら勝手口らしい
そこは…
畳が敷かれていたと思われる6畳間であった
しかし、畳はどこにも見当たらない、ふと目をやると部屋の隅に台所でもないのに蛇口がポツンと佇んでいた
シャカイ「隊長、蛇口です」
隊長「うむ」

隊長はあごをしゃくる、シャカイ隊員は蛇口のそばに走りより、手をかけた
固唾を飲む瞬間である
クイ…
蛇口はひねられた。…しかし、水は出なかった。我々は少しホッとした
ふと今度は上方に目をやる。天井にはかなり老朽化した電灯が我々の発見を待っているかのようであった
サラセ「隊長、電灯です」
隊長「うむ」

隊長はあごをしゃくる。サラセ隊員は電灯に歩み寄り、スイッチ紐をひぱった
カチ
紐はひっぱられた。…しかし、電灯は光らなかった。我々は少しホッとした
隊長「どうやら、水も電気もきていないようだ」
12:30 見限られた扉 シャカイ「次のポイントを攻めましょう」
シャカイ隊員の提案から次の部屋に挑むことに決定。我々は移動をはじめた。左手側の朽ちた扉が目に飛び込む。
シャカイ「む」
シャカイ隊員は扉に手をかける、一体何があるというのであろうか!
シャカイ「便所です!(ジャーン)
見事なポットン式である。しかし、紙はない。これを使用するのは一抹の抵抗感がともなうだろう
隊長「ゆくぞ」
隊長は便所を見限った(バーン)
12:40 荒果てた間

つづいてやってきた間は随分と荒廃ぶりが目立つ。どうやら台所のようであるが、流しは使い古されたカラーボックスなどが無造作に据え置かれ、床にはゴミだか生活用品だか判別しがたい物々が散乱している。

だが、こんな多くの残骸群の中にこそ、この屋敷の荒廃の真実をしる手がかりが隠されていようというものだ。
我々は期待に胸を躍らせる。

13:00 プロパンの謎 シャカイ「隊長!」
そのとき、シャカイ隊員が声をあげた。我々は視線をシャカイ隊員に集中させる。
シャカイ「プロパンボンベです!」
なんとそこにはプロパンガスのボンベが横たわっていた。プロパンは本来、屋外に設置する物。何故に屋内に放置されているのだろうか?だが、我々にはそれ以上に最大の疑問がわき上がる。いろいろと思案を重ねた挙げ句ヒデ口隊長はついに我慢し切れずに口を開いた。
隊長「しかし、それがどうしたんなら(バーン!)
そう、だからといって特に目新しい物は何もないのである。だがシャカイ隊員が我々に訴えたかったのはこれだけではない。
シャカイ「見て下さい、この日付を。昭和46年となっています」
隊長「なにぃ!」

現在は昭和60年、実に14年前のプロパンガスということになる。前述のとおり、プロパンは本来屋外に設置するのが常である、つまり無人の館と化してから屋内に運び込まれた可能性が強い。と、いうことは…
シャカイ「無人になって14年と推察される…」
我々はその悠久ともいえる時間に身震いさえ感じた。14年もの間、この館は主なく佇んでいたとは
サラセ「この家にとってもつらい14年だったにちがいない」
サラセが感傷にひたる、だが
隊長「安心しろ、家はつらさを感じる機能をもっていない」
サラセの一言は一瞬のうち葬られた。
13:05 黄色い発見 サラセ「隊長!」
しかし間髪いれずサラセは叫ぶ。
サラセ「これをみてください!」
サラセは黄色い物体をてにしている。
隊長「これは!!!」
思わずヒデ口隊長は声を上げた。
サラセ「フマキラーです」
そう殺虫剤の代名詞フマキラー、これをくらったらいかに凶暴な昆虫もひとたまりもないだろう。だが驚くべきはフマキラーということだけではなかった。サラセの手にするフマキラーは、現在の主流スプレー缶式ではなく、旧タイプの押し引きの噴霧式であった!(ババーン)
隊長「こんなものがあるとは…」
シャカイ「私はみたことがありません」
サカイ「私もです」

さもありなん、昭和60年現在、日本のどこを探しても噴霧式のフマキラーなどうっている薬屋は存在しまい。大体噴霧式など、さきの昭和46年にも使われていたかどうか疑わしい。
隊長「よし、研究材料に指定する」
我々はフマキラーを持ち帰ることにきめた。一体いつの時代のものなのか?学術的、歴史的な興味がつきることがない。
13:30 タンスの中に 意外な発見に我々の士気もあがっていく。次はそばに静かに佇むタンスに視線がとまった。我々は無言で頷き合う。
ゴト…
隊長は一番上の引き出しをひく。
隊長「む」
隊長は何かを見つけたようだ。
隊長「みんな、これをみてくれい」
隊長は引き出しから一冊の冊子をとりだした。
シャカイ「アルバムのようですね」
隊長「この館のことを知る大きな手がかりになりそうだ」

ますます我々の心は躍る
だが!
13:40 写真を探れ 一ページ目をひらいたところ、その中にあったのは意外にも白黒写真であった。カラー写真が当たり前の現在、我々には逆に新鮮にうつる。
隊長「おばあさんがうつっとる」
年の頃は60以上か?一人の老婆が写真を介してこちらをみつめている。背景はどこかの神社のようだ。
シャカイ「この家のひとかのお」
隊長「うむ、次をみてみよう」

次もやはり白黒写真である。やはりさきの老婆がこちらをみつめる。あまり代わり映えのしない結果に少しがっかり感が漂うが、
サラセ「あれ?これ、学校じゃ」
老婆は、この屋敷の近くの小学校にて撮影を敢行したようである。隊員達がかつて通った小学校なので、すぐに撮影場所も判明したのである。
サラセ「入学式かなんかの写真かのう?」
老婆はよそ行きと思われる着物を着していた。そして次の写真を開いてみると?
シャカイ「またじゃ」
次も同じ老婆であった。今度は山らしき場所で撮している。そして…次もその次も同じ老婆がこちらを向いている写真が連続するのみであった。
隊長「おんなじ人ばっかりじゃあ」
シャカイ「つまらんのう」

アルバム後半にはカラー写真となっていくが、老婆の写真は同じく続く。だが、最期の最期に我々は異様な写真を目の当たりにしてしまった!(ジャーン!)
13:50 異様な事態

最期の一枚はそれまでとあきらかに趣を異にしていた。
それはやはり老婆がこちらをむいて佇む写真であることには違いないのだが…

その写真には、あらゆるところにハサミ等による切り込みが刻まれていたのである(バーーン(音量最大))

切り込みは無惨にも老婆の顔や体にも達していた。何事もないように佇む老婆の姿が逆に痛々しい。
隊長「むう」
シャカイ「なんなあ、こりゃあ」

隊員は声を失った。無理もない事態である。一体この館に何がおこったと言うのであろうか。既に隊員達の想像の範疇を逸脱しようとしているのが我々には感じてとれた。

14:20 最期の間 いくら考えても結論は出ない。気がつくと、随分と日光に赤い色がついていた。
隊長「次にいこう」
シャカイ「このアルバムは押収しますか」
隊長「いや、いらん」

無理もない言葉である。我々はアルバムをそっと閉じ、もとあった引き出しに戻した。そしていよいよ最期の間へと突入した。
14:30 褐色の空間 そこは、ガラスの色がすでに変色する程までに、西日の光に晒されてきた部屋であった。透明な筈のすりガラスに黄色い色がついている。それだけではない、壁も床の畳も天井さえも日光に力により変色をよぎななくされ、部屋全体が黄色く発光しているかのような(歌で例えると神田川かもしれぬ)狭い狭い三畳間であった。
だが、部屋が古びているという以外には、先の台所のような散乱物もなく、これといって変哲のないただの狭い狭い三畳間にすぎなかった。
サラセ「なんもねえのう」
シャカイ「いや隊長、押入があります」

みると、いちめんに大きなふすま式の押入がある。ここが正真正銘最期の探索場所である。
隊長「うむ」
シャカイ「はい」
隊長「まてい!」

シャカイがふすまに手をかけた瞬間、隊長は叫んだ
隊長「私にやらせてくれい」
隊長は最期の探索ポイントへの開口を自らかってでた。果たして、この奥には一体何があるというのだろうか!
14:30

隊長「うわ!」
隊長はふすまを開けた途端、声を荒げた!他の隊員も思わず動きがとまった!

そこにはなんと、先のアルバムの老婆が映った巨大な肖像写真が一枚だけたてかけられていたのである(ジャーンジャーン、音量最大)

肖像写真…旧家を訪れると先代・先々代の家長の写真が欄間の上に飾られているのをたまにみることができる。大体が白地の台紙に楕円形でくりぬかれた写真をのせて、額縁などに納められたりする物だが、まさにその肖像写真が、それも一際大きい(60cm×90cmもあろうか)老婆が、アルバムよろしく無表情にこちらを見つめているのだ。
我々は背筋の冷たくなるような、なんともいえない雰囲気に飲み込まれそうになる。そう、恐怖だ!(ジャーン)

サラセ「隊長…」
隊長「むう、これ以上ココにとどまるのは危険だろう、ひきあげだ!」

隊員がキビスを返そうとしたとき、
サラセ「フマキラーはどうしますか!」
隊長「これは重要参考物だ、回収せよ!」
シャカイ「アルバムはやはり…」
隊長「それ以上いうな!私とて君たちと同じ気持ちだ」

果たしてそれ以上、誰も口を開こうとしなかった。

15:00

謎深き館を後にした我々の背中を、夕日が赤く染めていった。
今回の探険は隊員達に何を物語っていたのだろうか?あの館に何がおこったのか?切り込みの謎はいったい何だったのか?老婆は一体どうなってしまったのか?肖像写真は誰が何の目的であんなところに置いたのか?
判明しないコトはあまりに多い、だがこれでよかったのかもしれない。探険の目的は全てを暴き立てることだけではない。人間という物を見つめ直して、その存在の可能性と同時に、限界を知る旅でもあるのだから。

そう…世の中知らない方がいいことだってあるけえのお

最期にこれだけは記しておく、廃屋に潜入するのは廃屋物侵入罪に問われる

てもとのフマキラーが夕日に照らされ一層に噴霧式の哀愁を醸し出す。(エンディングテーマ)