なぜか急に書きたくなっただけで、このコーナーに深い意味や長期的展望など皆無である。
内容は

超電磁ロボ コンバトラーV は正義ロボットなのか?

筆者は昭和46年生まれなので、この番組を辛うじてリアルタイムで視たことがある。3才か4才の頃で、しかもスーパーロボット物なので、当然好きでポピー製の超合金をもってたりした。
なんか、ファンの人にいわせれば、ゲッターロボに続く「合体スーパーロボット」のターニングポイントとして非常に大きな意味を持つ作品らしい。元祖はゲッターロボであるが、このコンバトラーが何が大きな意味なのかというと、「完全合体」するということをさすのだそうだ。

要は玩具(超合金)として再現できると。玩具としての再現性が高くかつ複雑な要素を含めば含むほど子供達の購入意欲は高くなる傾向があるため、当時のスポンサーであったポピーやバンダイ等には、こういった番組は直接売り上げに響く重要なファクターであったわけだ。そしてゲッターこそは記念すべき合体ロボの走りではあったかもしれないが、合体変形という意味で、到底再現可能な物とは思えずそれほど玩具がうれた(というより出荷された)記憶がない。これに対しコンバトラーはその合体という過程の物語的要素からスポンサーの実益(タイアップ)まで計算された初めての番組であったということなのだ。事実1号機(バトルジェット)から5号機(バトルクラフト)まで完全に別商品として発売され、当時の玩具屋には相当量積み上げられていた記憶がある。そしてその1セットを筆者も購入したわけである、

しかし今回そういうアニメ誌がよくするような作品の歴史的な位置づけを語りたいのではない。幼少期、リアルタイムでみてところは紛れもないヒーローだったコンバトラーだが、年齢を重ね、懐古感から再放送にて作品を再見、三見するたびにある感想を持たざるをえなくなった自分がいた。これを記したいのである、しかも一方的に…


それはコンバトラーに使う武器に、非常に凶悪な要素を感じ取ってしまうということである

私の心の中ではヒーローロボットの武器といえば
ビーム、ミサイル、剣、拳、そして必殺技
という観念が根付いている。ヒーローロボットアニメの元祖的作品マジンガーZに当てはめてみると光子力ビーム、ロケットパンチ、剣に相当するものは持っていないが(アイアンカッター?)後発のグレートマジンガーではマジンガーブレードとして登場、他作品ではボレテスVやダルタニアス等多くの番組で剣が必殺技として使用されているし、拳においてはどのロボットものでも「●×パンチ」とかいって、まず最初に放つ武器(技)として使用される。(当時の情勢からいってガンダムシリーズ以降は無視)

逆に悪者ロボットの定番武器といえば
電撃、鞭、火炎、卑怯なところ(手や足、腹)に仕込まれた刃物やドリル
ここでいう刃物には、カマだとかナタだとか妙にいびつな形の物が多い。剣だの槍だのシンプルな形の武器を使う例は少ないと思われる。(重要敵ロボットはこの限りではない)理由として、いかにも悪者!という印象を与えるために威圧的なインパクトを有するものを選択した結果ではないか?

さて、問題のコンバトラーだが、先述のように合体ロボとしての非常に重要な位置づけを担っているにも関わらずその武器にさわやかさを感じさせない物が多い。では細かくみてみよう、といってもコンバトラーは、その武器数がかなり多いため、当然ノーマルな物も多いことは付け加えておく、ただその使用法に問題がある物もあるが…

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付随して書いておくと、コンバトラー本編には二人の開発者(博士)が登場する
一人目はコンバトラーを一から制作した南原博士、だが劇中にて死亡してしまう。彼のコンバトラー制作には一つの明確なコンセプトがみてとれた。目には目を、歯には歯をである。

それはコンバトラーが出来る以前、敵から受けた攻撃(火炎放射器や電撃、大型のカマやめつぶしなど)をそのまま、数倍にして相手にお返ししてやろうというもの。その旗手としてコンバトラーを開発したのだ(?)故にみてくれや道徳的な意義など関係ない、要は相手を苦しめてたたき潰せばいい、我らの受けた屈辱を味わうがいい!…彼の開発した数々の武器からはそういう強い思いがみてとれる

二人目は南原博士の遺志をついで、主人公達の束ね役をかってでた四谷博士、彼は後年、敵ロボットの強力化に併せて、コンバトラーの武器追加と、新必殺技考案という大胆な改造を行った、だがその真の目的は、あまりにもえげつない元祖からの武器のイメージを一新するのにあったのかもしれない

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では、まずは正義ロボらしいものから ※(後発)とあるものは四谷博士作、それ以外は南原博士作

●ロックファイター
指先から発射する合計10発の小型ミサイル、牽制的な使用例が多かった。コレは実にノーマルな武器である。

●ツインランサー(後発)
物語途中から追加された物と思う。純然たる剣がなかったコンバトラーは、肩に二本のランサーをしのばせておき、必要時にとりだして闘っていた。使用方法もやはり「斬る」、これも正義ロボらしい。

●Vレーザー(後発)
額のVの字から発射されるレーザー光線。光子力ビームに相当するか?あたった的にVの字がくっきりのこる、焼き印っぽくてなんか陰湿なイメージがあるが、正義ロボ定番といえるだろう。

●ビッグブラスト
腹のへそあたりの部分から発射される大型ミサイル。ロックファイター同じくさわやか(?)な武器だが、一度だけ卑怯な使い方をした。相手の腕かなんかが主要武器であるから、相手に密着した後、腕を使えないようにしておいて、ビッグブラストを極至近距離からお見舞いしたのである。なんだかなあ。

●グランダッシャー(後発)
コンバトラー変形して相手に体当たりする、後述超電磁スピンと並ぶフィニッシュ技。元祖フィニッシュのスピンと比べて非常にさわやかな技だった。コンバトラーはなぜか他のロボットよりも接近戦というか体当たり的発想が強い武器が多かったように思える

往々にしてノーマルな技ばかりだ、他のロボットと比べてもそう目立つところはない。
だが!これらの多くは元々あったコンバトラーの技ではない。あとから四谷博士という人が追加したに過ぎず、元来の開発者南原博士が搭載した武器をここから挙げてみたい

●アトミックバーナー
両拳がひっこんで、かわりに火炎放射器がでてくる。超高熱が発射されて相手の四肢を焼き尽くす。このときの相手の苦しみようは、同じような攻撃をくらったコンバトラー(メンバー)自身の比ではない

●超電磁ヨーヨー
主題歌にも出てくるために、知名度も高い。腰の部分(4号機バトルマリン)から円盤をとばして超電磁ヒモ(すごい名前だが)なる磁力線でむすびつけ、ヨーヨーとして相手にたたきつける。ただし、ヨーヨー部分からは刃物が飛び出す。実際あっても相当怖い武器だ。だが、武器一つのみてくれはそう凶悪でもない。後番組のボルテスVでも「超電磁コマ」なる類似武器がでてくる。そしてこちらは、相手ロボットの触手や弱点をきりさくといった、ごく普通の使用例が多い。が、コンバトラーでは使い方に問題がある。ボルテスが一話一回の使用、それもここぞというワンポイント的使いかたなのに対して、コンバトラーは何度も何度もヨーヨーをたたきつける。ただのヨーヨーであっても相当いやな攻撃だろう、それが刃物つきである!おまけにパイロットの声が「このうこのう!このおう!」よっぽど個人的な恨みでもあるのか、画面的にも正義の味方にいいようになぶられるマグマ獣(相手の名前)が痛々しい。

●バトルガレッガー
やはり両拳が引っ込んで、かわりにUFOキャッチャーよろしくクレーンがとびだす。これを利用して落下しているものをつかんだり、物を引っ張ったり。もちろん相手を締め付けて苦しめるのが主な目的。これはみてくれも凶悪だ。なんせクレーンの形がもろにエイリアンの口を連想させるようなもの。だが、これだけではない!動けないのをいいことにチェーンをつたわらせて数万ボルトの電撃をくらわせる。こんなのマジンガーの世界なら完全に機械獣の役目だろう

●バトルクレーン
上のガレッガーと混同してしまいそうだが、こちらもみてくれ凶悪な武器。これも両拳が引っ込む式。かわりにトゲトゲの生えた四角いボックスを相手に発射する。なんでクレーンという名前なのか、どうにもわからない

●カッターキック(後発)
珍しく四谷博士が後からつけた凶悪武器。足首から刃物が放射状にでて、相手に蹴りをかます。マジンガーでもアイアンカッターなる腕から刃物が飛び出す武器があったが、やはりこちらは使い方故に見事、凶悪武器に昇格してしまった。ヨーヨーと同じでこれでもかとばかりに蹴り回す蹴り回す蹴り回す(しかも刃物付き)、こちらもやはりパイロットが「えいえいええい!」…どちらが悪者なんだか?元ヤンキーがスタッフにいたのだろうか?

●バトルチェーンソー(後発)
卑怯さ
でいえば、最高級に位置するであろう、四谷博士考案の武器。どうやら南原博士だけが特別サディスティックとワケではなさそうだ?これは背中部分(3号機バトルタンク)に合体前のタンクが使用していたキャタピラが変形という形で収納(?)され、使われていないことに目を付けて、武器として使用出来るようにしたもの。その使用方法…マグマ獣とガップリ組み合って力と力の熱い戦いを行っているときが効果的である。「バトルチェーンソー!」の掛け声とともに背中のキャタピラはコンバトラーの背中そして肩を伝って、相手の背中に移動する、(もちろん的は腕が使用できない)そこでおなじみの刃物がキャタピラから生えて…正々堂々と正面きっての攻撃をしかけたマグマ獣の立場もなにもあったもんじゃない。どうも彼の武器は「とにかく相手を苦しめる」ことを第一目的に作成されているのは疑いの余地はない。

●超電磁竜巻
主題歌必殺技三段活用の二番目、ヨーヨー、たつまき、スピンの順で紹介される。しかしながらこれは物理的ダメージは一切あたえない。にもかかわらずコンバトラーの技の中で凶悪度、卑怯度は前述バトルチェーンソーをはるかに上回る。正確にいうと攻撃補助であり、磁気嵐を人工的に発生させて、相手にたたきつける。相手は磁気嵐の中で、全方向に電磁力が働き一切の行動が麻痺する…ようは金縛りである。そして全く動けなくなった相手に、かわされる心配なく悠然と残虐必殺技超電磁スピンをお見舞いする。子供達がそれを目の当たりにしていかな感想をもっていたかは定かではないが、改めてみると「……インチキ」と思わず呟いてしまう。全50余話中一度として破られていないところからみて、その強烈さが一層偲ばれる。ちなみに第一話にて早速登場、主人公が技執行直後「どうだ!動けまい!」と得意満面にいったシーンが未だに頭を離れない。

●超電磁スピン
コンバトラー最終兵器、超電磁スピン。剣や拳などの技に対して威力に不安をかんじてか、南原博士が絶対に相手を「一撃」で「確実」に「徹底的」に「破壊する」にはどうしたらよいかというコンセプトにて開発されたとしか思えない。両手を真垂直に上げて両拳を合掌。ガレッガーやアトミックバーナー同様に拳を収納してかわりに大型のドリルが突出してくる。このドリルがまた見てくれ凶悪で、ごく普通の円錐に切り込みがはいったようなものではなく、アメジスト岩石の結晶トゲトゲをさらに激しくしたような形状、まちがって触っただけで掌から鮮血がドクドク流れ出しそうなイメージがまず沸く。これを直接たたき込んでも相当のダメージを与えられるのだろうが、更に進展させて、回転エネルギーと位置エネルギーを付加させた。つまり、コンバトラー本体がスピンを始め、全身ドリルと化し、空高くとびあがって相手の土手っ腹に体当たりするのである。これだけオーバーアクションな技なので当然かわされる不安もあろうが、前述超電磁竜巻でその弱点を補い「サルでも当たる」状態にしておいて悠々成功させるのだ。「何もここまで…」という同情の念を視聴者に与えつつ技の敢行にうつること数十回…。筆者の今までみたスーパーロボット必殺技の中でダントツにキングオブ残虐&卑怯である。このインパクトには新必殺技グランダッシャーも霞んでしまい、わずかに使用されたにとどまってしまうほどだった。グランダッシャー開発の四谷博士もとんだ徒労だったわけである。こちらにも多少の同情を禁じ得ない。