投稿日 | : 2005/12/18(Sun) 01:01 |
投稿者 | : 虚数 |
Eメール | : |
URL | : http://d.hatena.ne.jp/fictions/ |
タイトル | : 格別の節制を慰めて |
たとえば
昼下がりの高級ホテルのロビーのとなりにある
不必要に広い喫茶店の一杯千円ほどする紅茶を飲みながら
キザったらしい髪型と服装をして
臆面もなく嘘であることを露骨に現しながら
これから半分詐欺のような商談のために
笑顔をつくることについて
あなたがそうだと考えよ
たとえば
駅前の地下道の角にある
ファストフードのアルバイトとして
時給800円ほどの金額をもらって
自分よりも20歳も若い
言葉遣いもままならないような
アルバイトに
ただ数ヶ月先に入ったというだけの理由で
早朝から掃除やらゴミ捨てやらをやらされつつ
にこやかに注文をさばいていくことについて
わたしがそうだと考えよ
たとえば
たとえば
たとえば
道をすれ違う人々ひとりひとりの人生について
格別の節制をしている人々ひとりひとりについて
あるいは
格別の節制をしていない人々ひとりひとりについて
思いを巡らしながら
自慰せよ