投稿時間:2005/03/02(Wed) 15:07 投稿者名:番場 萬作
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「花、言い換えるなら一線を越えた皇太子」
妙にきりりとしている 男が左手に花を持っていた 何の花かって それはもう決まっている その人は花を 自分流に育てようとしたのであるが 家元に怒られて また鉢の中へと 移さなくてはならなくなった
家元はいつもきれいな 城の内側をみている 壁には歴代の家元の 肖像画が並んでいた その中の一人が 急に微笑んだ 家元は吐き気を覚えた
男は困惑する このことを公表しよう 花の育て方くらい自由でいいじゃないか 男は苦悩する 側近に怒鳴りつける 花はしおれそうだ 家元はそのけしきを 眺めてこの家が 安泰なことを確信する
だって、あんまり幸福な 家庭だと、ねたまれるのよ 不幸だから、あの莫大で 不透明な収入も文句が いわれないんじゃないの
肖像画の一人は そう思って 微笑んだのだろう
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